キアス 英 Cirth
キアスは J・R・R・トールキンの創作した架空文字。キアスを最初に考案したのはドリアスの伶人ダイロン(ドリアスにいた,シンゴルの宮廷吟遊詩人にして伝承の大家,学者。サイロスの友人)であると設定される。この文字は,ベレリアンドのシンダールに用いられた初期の古いキアス,石や木に名前や碑文を刻むために考案された文字で,刻みやすいように直線で構成された角ばった形をしており,ルーン文字と呼ばれた。この文字は,後に改良が加えられ,主に『ホビットの冒険』『指輪物語』のなかでドワーフ族が使用するようになった。ちなみに,ドワーフは,架空世界である中つ国において背の低い頑健な種族であり,女性も含め全員がひげを生やしている。→ 中つ国
キアス
Anglo-Saxon ルーン文字に非常に形が似ている。
キアス見本
『ホビットの冒険』の作中に登場するドワーフ族の 1 人バーリンノ碑文。アンゲアサス・モリア(エレボール)モードのキアスで記されている。 Cirth
Balin
Fundinul
Uzbadkhazaddûmu
Balin son of Fundin Lord of Mona
Fundinul
Uzbadkhazaddûmu
Balin son of Fundin Lord of Mona
マザルブルの書の「写し」
トールキンは『指輪物語』の執筆中にガンダルフが読み上げる「マザルブルの書」のレプリカを製作し,本の付録にしようとしていた。トールキンはこの付録にかなりこだわっており,ページの破れ具合,穴,焼け焦げのあと,「元の」書物が綴じられてあったはずの「綴じ穴」まで再現するほどだったが、アレン・アンド・アンウィン社は費用がかかりすぎるとして反対し、結局『指輪物語』には収録されなかった。ここで用いられた文字は,エレボール式キアス(Ereborian cirth)と呼ばれる。→ W.G. ハモンド
関連リンク
- TRIPOD Cirth
- Tolkien Alphabets
注
- キアス | Cirth
- 中つ国 Wiki キアス
- Omniglot Cirth
- W.G. ハモンド, C. スカル著 ; 井辻朱美訳(2002)『トールキンによる「指輪物語」の図像世界 (イメージ)』(原書房)
[最終更新 2019/06/20]