カンナダ文字 英 Kannada script
カンナダ文字は,インド共和国カルナータカ(Karnataka)州で話されているドラヴィダ系の言語カンナダ語を表記するために用いられている。カナリース(Canarese)文字,またはカンナラ(Kannara)文字と呼ばれることもある。本来のカンナダ語以外に,サンスクリット語からの借用語を正確に表記できる文字体系になっている。綴りと発音が原則として一致している。
カンナダ文字はインド系の文字で,南方ブラーフミー文字が発達してできたものである。カンナダ文字とテルグ文字は,形態的相似からも明らかなように源を同じくし―古カンナダ文字はテルグ・カンナダ文字とも呼ばれる―,ようやく8~9世紀になって両者は分離独立した。カンナダ文字で書かれた最古の資料は,マイソール(Mysore)州ハーサン管区(当時)で発見されたハルミディ(Halmiḍi)碑文(西暦 450 成立)である。 [1]
文字構成
カンナダ文字の基本単位は,53 の文字と 4 つの記号からなる。いくつかを除いて,テルグ文字ときわめて似ている。
atyanta「最も」構成要素 | |||||
ಅ | ತ | ಯ | ಂ | ತ | |
U+0C85 | U+0CA4 | U+CCD | U+0CAF | U+0C82 | U+0CA4 |
A | TA | VIRAMA | YA | ANUSVARA | TA |
母音文字・母音記号
子音文字
他のインド系文字と同様に,カンナダ文字の子音文字も,そのままでは a 音を伴う音節を表示する。子音を単独で表示するときは,右上にヴィラーマ(U+0CCD)を付加する。
連続する子音を表記するときは,初頭の子音を通常の大きさと位置で表記し,後続の子音をその下方に上部横線(タレカットゥ)を削除し小型化した形で付加する。 /r/ が初頭音の場合は,後続子音の後にその変形した字形,子音記号が付加される。
アヌスヴァーラとヴィサルガの使用例である。
古典テキストではカンナダ数字が使われている。
テキスト
サンプルテキスト
《訳》 大昔のこと,ヴィダルバで王様がいました。その国では,長い間,盗みがたくさん行われていました。これを捕まえることができたものは誰もおらず,ついに王様自身がある日盗人たちを捕まえに行こうとしました。 [2] |
テキスト入力
ユニコード
カンナダ文字のユニコードでの収録位置は U+0C80..U+0CFF である。
入力方法
カンナダ語用キーボードを設定すると,タスクバーにはカンナダ語を表す「KA」が表示される。仮想キーボードおよび入力方法については 多言語環境の設定 を参照。注
- ^ 家本太郎 (2001)「カンナダ文字」河野六郎, 千野栄一, 西田龍雄 編著『言語学大辞典 別巻 (世界文字辞典)』三省堂, p. 287.
- ^ Bright, William,家本太郎・内田紀彦訳 (2013)「カンナダおよびテルグ文字」Peter T.Daniels, William Bright [編], 矢島文夫 総監訳, 石井米雄, 植田覺, 佐藤純一, 西江雅之 監訳 (2013)『世界の文字大事典』朝倉書店, p. 440.
関連リンク・参考文献
- カンナダ文字 | カンナダ語
- 中西コレクション(国立民族学博物館)カンナダ文字【参照】中西亮 (1994)「カルナタカ州のカンナダ文字」『文字に魅せられて』同朋舎出版, pp. 139-142.
- Omniglot: Kannada
- ScriptSource: Kannada
- Learn to write kannada consonants
- Online Kannada news in Kannada: http://www.prajavani.net/ | http://www.kannadaprabha.com/
[最終更新 2023/11/10]