仏教ポー・カレン文字 英 Pwo Karen monastic Buginese script
ポー・カレン語は,ミャンマーのカレン州周辺で話される東部方言と,同じくイラワジ川のデルタ地帯で話される西部方言の 2 つに大きく分かれる。両方言相互の理解はほとんど不可能なほど発音・語彙どの点でも異なっている。仏教ポー・カレン文字は,このうち東部方言が話される地域で使われる。ポー・カレンは,古くからモン人との交流が盛んであり,モン人から仏教を取り入れる過程で,カレン人自身が仏教文書を書くためにモン文字を改変して編み出したと考えられるのが仏教ポー・カレン文字である。現存する最も古い文献は,1851 年に書かれたとされる貝葉 (ヤシの葉に文字を刻んだもの。上図参照貝葉が伝える仏教ポー・カレン文字) である。キリスト教スゴー・カレン文字より以前に,この仏教ポー・カレン文字の萌芽があった可能性は否定できない。 [1]
仏教ポー・カレン文字と発音
子音字
子音字母は下表に示す 36 種類がある。このうち括弧で括った 12 文字については,モン語やパーリ語やビルマ語などからの借用語に稀に現れるのみであり,音価も往々にして一定しない。残りの 24 文字は頻繁に使われ,音価が一定している。
母音符号・末子音符号・声調符号の組み合わせ
母音符号・末子音符号・声調符号の 3 種類は不可分に結びついている。下表に組み合わせがどのような発音を表すかを,規則的なもののみ示す。
注
- ^ 加藤昌彦 (2001)「仏教ポー・カレン文字」河野六郎, 千野栄一, 西田龍雄 編著『言語学大辞典 別巻 (世界文字辞典)』三省堂, pp. 847-851.
関連リンク
- 加藤昌彦 (2005)『ポー・カレン語文法』(東京大学博士論文)
[最終更新 2021/09/05]