2 おむすびころりん

(1)-(5) p6

(1) 昔々(むかしむかし) ある ところに、木(き)こりの おじいさんが おばあさんと 仲良(なかよ)く暮(く)らしていました。

(2) ある 晴(は)れた 日(ひ)の お昼(ひる)、おじいさんは いつものように 切(き)り株(かぶ)に 腰(こし)を おろし おばあさんの にぎってくれた おむすびを 食(た)べようと、
竹(たけ)の 皮(かわ)の 包(つつ)みを ひろげた とたん、
おむすびが ひとつ コロコロっと ころがって ―
足元(あしもと)の 小(ちい)さな 穴(あな)へ おっこちてしまいました。

(3) 「おやまぁ、もったいない ことを した。」と おじいさんが 穴(あな)の 中(なか)をのぞきこむと、
「おむすび コロリン コロコロリン、
コロリン ころげて 穴(あな)の 中(なか)」
と、かわいらしい 歌声(うたごえ)が 穴(あな)の 奥(おく)から 聞(き)こえてくるでは ありませんか。

(4) 「これは ふしぎ、 誰(だれ)が 歌(うた)っているのだろう。」と、
おじいさんは もう ひとつ おむすびを ころがして、穴(あな)に 入(い)れてみました。
「おむすび コロリン コロコロリン、
コロリン ころげて 穴(あな)の 中(なか)」
またまた かわいらしい 歌声(うたごえ)が、奥(おく)から 聞(き)こえてきます。

(5) 「ははぁ、こりゃあ おもしろいぞ。」 
おじいさんは、次(つぎ)から 次(つぎ)へ おむすびを ころがして・・・
とうとう、ひとつ 残(のこ)らず 穴(あな)に 落(お)としてしまいました。

(6)-(10) p8

(6) 「おかえりなさい おじいさん。あれまぁ どうしました そんなに ひょろひょろ して。」
「おばあさんや、腹(はら)ぺこだ 腹(はら)ぺこだ 大(おお)腹(はら)ぺこだぁ。」

(7) おじいさんは ごはんを 腹(はら)いっぱい 食(た)べてから、おばあさんに 昼間(ひるま)の ふしぎな 歌(うた)の ことを 話(はな)して きかせました。

(8) 「まぁまぁ、いったい 誰(だれ)が 歌(うた)っているのかしらねぇ。」
「それさ、それが 知(し)りたくてのぅ。」
「それでは、明日(あした)は たくさん たくさん おむすびを 持(も)って行(い)きなされ。何度(なんど)も 何度(なんど)も 歌声(うたごえ)が 聞(き)けるように。」
おばあさんは、お米(こめ)を 一(いっ)升(しょう) 炊(た)きました。

(9) 次(つぎ)の 日(ひ)、朝(あさ) 早(はや)くから 山(やま)に 来(き)た おじいさん、
わくわく しながら お昼(ひる)に なるのを 待(ま)って、
コロリンと おむすびを ころがして あの 穴(あな)に 入(い)れました。

(10) 「おむすび コロリン コロコロリン、
コロリン ころげて 穴(あな)の 中(なか)」

(11)-(14) p10

(11) 「ほっほっほ、やっぱり 歌(うた)が 聞(き)こえるわい。なんと まぁ きれいな  歌声(うたごえ)じゃ。いったい 誰(だれ)が 歌(うた)っておるか 知(し)りたいのう。」
「あぁ そうじゃ。わしが 自分(じぶん)で 入(はい)ってみれば 知(し)れるだろうさ。」

(12) おじいさんは 両手(りょうて)で ひざを かかえ、背中(せなか)を 丸(まる)く 丸(まる)く 丸(まる)めて、おむすびみたいに コロリンと 穴(あな)の 中(なか)に ころげて 入(はい)ってみました。
すると、 穴(あな)の 底(そこ)では おおぜいの ネズミたちが おしくらまんじゅう しながら 歌(うた)っているでは ありませんか。
「おむすび コロリン コロコロリン、
おじいさんも コロリン コロコロリン」

(13) 「おじいさん、きのうも 今日(きょう)も たくさんの おむすびを ごちそうして  くださって ありがとう。お礼(れい)に おもちを ついて ごちそうしましょう。」

(14) ネズミたちは、 ちいさな ウスと キネを 運(はこ)び出(だ)して、
「ペッタン ペッタン ペッタンコ
ネズミの おもちだ ペッタンコ
やさしい おじいさん めしあがれ
ネズミの おもちだ ペッタンコ」

(15)-(21) p12

(15) おじいさんは、それは それは おいしい おもちを おなかが はちきれそうになるまで ごちそうに なりました。

(16) 「おじいさん、おみやげに これを さしあげましょう。これは 打(う)ち出(で)の 小(こ)づちです。ほしい ものを 唱(とな)えながら 振(ふ)れば、なんでも 出(で)てきます。親切(しんせつ)に してくださった お礼(れい)です。」

(17) おじいさんは 家(いえ)に もどって おばあさんに 聞(き)きました。
「おばあさんや、お前(まえ)は 何(なに)が ほしいかね。」

(18) 「そうですねぇ。ずっと ずっと 昔(むかし)から ほしかったのは そう 赤(あか)ん坊(ぼう)。かわいい 赤(あか)ちゃんが いたら、どんなに 幸(しあわ)せでしょうねぇ。」

(19) 「よぅし、やってみよう。」
おじいさんは 打(う)ち出(で)の 小(こ)づちを ぶいん ぶいんと 振(ふ)りました。
「赤(あか)ん坊(ぼう) 出(で)てこい、赤(あか)ん坊(ぼう) 出(で)てこい。」
すると、

(20) おばあさんの ひざには、もう おむすびみたいに 丸々(まるまる) 太(ふと)った かわいい 赤(あか)ちゃんが 乗(の)っていました。

(21) おじいさんと おばあさんは 赤(あか)ん坊(ぼう)を かわいがりながら、それからも 仲良(なかよ)く 暮(く)らしましたとさ。

奥付(おくづけ)

2 おむすびころりん

『日本(にほん)の童話(どうわ)』 全(ぜん)7話(わ) 第(だい)2話(わ) おむすびころりん (日本(にほん)語(ご)) 準拠(じゅんきょ)

編(へん) 三間(みま) 由紀子(ゆきこ)
絵(え) 武(たけ) 美和(みわ)
朗読(ろうどく) 森(もり) 秋子(あきこ)

制作(せいさく) NPO法人(ほうじん) 地球(ちきゅう)ことば村(むら)・世界(せかい)言語(げんご)博物(はくぶつ)館(かん)

2021.2.9