地球ことば村
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世界の文字

マラヤーラム文字 英 Malayalam letters マラヤーラム Malayāḷam eḻuttu


マラヤーラム文字は,インド南部のケーララ州 (Kerala)の公用語マラヤーラム語を表記するための文字である。マラヤーラム語はタミル語の西域方言から発展し,9~10 世紀頃から固有の言語として現れる。したがって,マラヤーラム文字の成立も古くはなく,同文字の最古の資料である刻文も 10 世紀のものである。

チョーラ王朝(9~13 世紀)の下で,タミル文字にサンスクリット語を書写するのに用いられるグランタ文字の交じった文字(グランタ・タミル Grantha-Tamil 文字とも呼ぶ)に統一されるようになった。グランタ文字は,サンスクリット語の語彙を大量に取り入れ有声音や帯気音をももつマラヤーラム語を表記するのに適した文字として使われるようになり,13 世紀頃までにはマラヤーラム文字として定着することになった。その後,同文字は変形を続け,19 世紀になって現行のマラヤーラム文字となった。[1]

文字構成

マラヤーラム語は,ドラヴィダ系言語特有の反転音のや反転摩擦音を含むばかりか,アーリヤ系の有気音をほとんどすべて含んでいる。後者の点でタミル語と異なる。なお,マラヤーラム語は,ドラヴィダ系主要言語のうちでは最も多くのサンスクリット語系の語彙を用いるとされる。

マラヤーラム語の 14 の基本母音と 36 の基本子音はすべて表音文字であり,すべての母音と子音が結合すると 14 × 36 = 504 音となるが,サンスクリット系の母音である l' はあまり使われていない。またマラヤーラム語には後述する,多数の重子音と,複雑な u や ū の母音との結合方法などがあるため,字母の書き方を合理化し,印刷する際に必要な活字の数を減らす動きが起こり,1981 年には,合理化によって,必要活字数を 500 から 90 に激減させることができた。[2]

eḻutt (筆記) 構成要素
U+0D0E U+0D34 U+0D41 U+0D24 U+0D4D U+0D24 U+0D4D
E LLLA U TA VIRAMA TA VIRAMA
ここでは,語中と語末に VIRAMA が使われているが,前者は子音を結合する機能を,後者は末尾子音を示す機能を持っている。

以下の文字表中で 2 種類の文字を並べた場合は,左側に合理化前の文字(母音記号)を示した。

母音字

14 の基本母音のほかに,aṃaḥ を表す文字がある。

子音字

子音字にはすべて [a] の音が含まれている。[a] をとって狭義の子音の音を表すためには文字の右肩に三日月形のマークをつける。


下記の文字は母音を伴わない独立した子音字である。

子音字+母音字

子音 k,t,p と母音の結合例を示す。

子音字+u, ū

母音 u と ū の音と子音字が結合する際に,表記合理化以前では赤字で示すように不規則な表記をする文字が多数存在する。

重子音

マラヤーラム文字には,特定の子音と直後の子音が一体となった重子音(結合文字)が多数ある。表記の仕方は,字母を上下に重ねたり,互いの字母の一部分または記号化された符号を結合させる。なお,字母の書き方の合理化の結果,上部にあった字母に三日月形のマーク付し,下部につけられていた字母をその右に並べていくやり方がとられた。

Grünendahl [3] から旧正書法による重子音の一部を引用する。

数字

マラヤーラム文字テキスト

サンプルテキスト

伝統的な正書法による『世界人権宣言1条』


現代の正書法によるテキスト[4]


ユニコード

マラヤーラム文字のユニコードの位置は U+0D00..U+0D7F である。


入力方法

マラヤーラム文字キーボードを設定すると,タスクバーにはISO言語コードISO 639-1の言語コードでマラヤーラム語を表す「ML」が表示される。

関連リンク・参考文献

[最終更新 2023/11/10]