地球ことば村
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小学校英語教育―是非の問いからその先へ(第一回)

講演「コミュニケーション―無限大の可能性を秘めたこどもたち―」
千葉大学 椎名紀久子先生

【講演要旨】

-何を重視すべきか-
小学校段階での英語教育では、
1)「コミュニケーションの楽しさ・異文化理解・達成感・役に立つ面白さ」などの児童側のモチベーションを高める
2)発達段階に沿った指導法と評価(「身体的・分析的思考・興味・情操・社会性」などの観点から)の確立
を重視すべきだと考える。

-中国での事例-

1) については歌、物語、ゲーム、文字を取り入れた授業が実験校などですでに行われている。

2) について、たとえば中国では、国家英語課程基準として、言語技能・言語知識・情意態度・学習ストラテジー、文化意識など5つの到達目標を定め、小学校3年から英語の授業を必修化し、小・中・高という英語教育の一貫性を前提に、英語指導の資格を持った教員による授業が行われている。指導目標は9つのレベルに細分され、明確に記述されている。(小学校1年から英語授業を行っている湖南大学付属小学校の指導体制・授業内容・授業風景の紹介)

-成田市 新山小学校の事例-

教育特区に指定された新山小学校でのALTと学級担任によるティーム・ティーチングの英語授業の紹介。

CALL(computer assisted language learning)による英語の語彙学習(椎名他2005)平成小学校で実験的に実践した例を紹介(児童側インターフェース、管理者・教員側インターフェース)。この方法を使うことで、効率的、実効的な授業が実現すると考えられる。

-小学校英語教育によって得られるもの-

母語である日本語の能力には、すでに児童ひとりひとりに差がある。英語の学習はほとんどの子どもが同じスタートラインに立って始めるため、その差を意識することなくのびのびと学習することができ、その場に参加することでコミュニカティブな態度を身につけることができる。

ゲームや歌などの楽しさで引っ張るのは、言語そのものを理解する楽しさとは違うという意見に対しては、まず、心を開いて伝え合う楽しさで意識をひき付け、興味と有用性という動機づけを行いながら、英語という言語に対する知的好奇心を持たせるというという3段階で言語学習の楽しさを見出すのだと答えたい(cf. 唐須教光『バイリンガルの子どもたち』、『なぜ子どもに英語なのか』では具体的なバイリンガル教育の成功例を挙げ同じような主張をしている)。