ことわざ学会・地球ことば村・慶應言語教育研究フォーラム 共催
地球ことば村10周年記念
ことわざフォーラム2013
「ことわざと現代社会 ― 今 なぜ ことわざか?」
日時:2013年11月16日(土)13:00-17:30
会場:慶應義塾大学三田キャンパス南校舎455教室
テーマ:現代社会の諸問題解決に伝統的なことわざを活用する試み
プログラム/講演要旨
13:00 開会の辞
阿部年晴先生(NPO法人地球ことば村理事長・埼玉大学名誉教授・文化人類学)
ワークショップ “ことわざから見える世界”
1)タンテリ・アンジアマナンカシナ氏(マダガスカル出身)
「マダガスカル一般生活に欠かせないことわざの役割」講演要旨(PDF、104KB)
2)岡口良子氏(ヒンディー語翻訳者)
「ヒンディー語のことわざ」講演要旨(PDF、145KB)
3)ソナムツェリン氏(在日チベット人)
「チベットのことわざ」講演要旨(PDF、6.9MB)
4)李恵敏氏(中国朝鮮族出身)
「中国朝鮮族のことわざの使用状況」講演要旨(PDF、206KB)
左上:タンテリ・アンジアマナンカシナ氏/右上:岡口良子氏/左下:ソナムツェリン氏/右下:李恵敏氏
14:15 伝統芸能 一龍齋貞花師匠 講談「米百俵」
(15:00 休憩)
15:10 パネルディスカッション “現代社会でのことわざ活用”
【パネリスト】
1)永野恒雄先生(明治大学兼任講師・教育学)
「良いことわざ、悪いことわざ」講演要旨(PDF、104KB)
2)小馬徹先生(神奈川大学教授・文化人類学/アフリカ研究/日本研究)
「諺の現代アフリカへの可能な貢献 ― ケニアのキプシギス社会を例として」講演要旨(PDF、92KB)
3)海野るみ先生(首都大学東京准教授・文化人類学/民族音楽学)
「ことわざから考えるジェンダー ― 南アフリカ・グリクワの人々が教えてくれること ―」講演要旨(PDF、64KB)
4)北村孝一先生(学習院大学非常勤講師・ことわざ学)
「ことわざの衰退と再生 ― 再解釈と新たな越境の可能性 ―」講演要旨(PDF、138KB)
左上:永野恒雄先生/右上:小馬徹先生/左下:海野るみ先生/右下:北村孝一先生
【総合司会】
井上逸兵先生(地球ことば村副理事長・慶應義塾大学教授・社会言語学)
保坂良子先生(ことわざ学会理事・学習院大学准教授・ドイツ語)
17:20 閉会の辞
懇親会(別会場)
「ことわざを編む ー 創作ことわざ」入選作発表・景品贈呈
「ことわざを編む ー 創作ことわざ」入選作
(*はネット応募)
【アレンジ部門】
①(課題:蓼食う虫も好き好き)
虫食う歯がずきずき〔okia1211〕
金食う虫もときどき〔ヘンデプレミ〕
高所も好き好きスカイツリー〔マイルド・イレブン〕
②(課題:のれんに腕押し)
汚染水に金出し〔O.呂陵〕
取れんのに腕伸し〔okia1211〕
ご縁でごり押し〔ヘンデプレミ〕
テレビ画面に指押し〔Kanin〕
【創作部門】
原発買いの故郷(くに)失い〔O.呂陵〕
老いても親に従う〔Kanin〕
無い胸は揺れない〔めいこ*〕
〈特別賞〉
言うとお節介、言わないと無神経〔ゆうこ*〕
※「創作ことわざ」の応募作ですが、他の作品がよく知られたことわざをベースにしているのに対し、オリジナリティがある優秀作として評価しました。
【参考】「ことわざを編む ー 創作ことわざ」について
ことわざの重要な特徴として、①世間でよく知られていること、②簡潔であること、③知恵が含まれ、表現として鋭く、洗練されていること、などが挙げられます。さらに、④誰が言い出したかわからないことや、⑤古くから伝承されていることを付け加えてもよいでしょう。
ことわざは、口承文芸の一種で、近代文芸と異なり、一般的には作者が特定できず、集団の中で取捨選択され、改変されていく集団文芸であり、近代の著作権概念から最も遠い存在です。したがって、ことわざを創作するなどということは、ふつうは思いもよらないことでした。
しかし、あらためて考えてみると、どのことわざも最初に誰かが言い出したに違いありません。あるいは、一人ではなく、同時代の(あるいは時代も地域も異なる)何人もの人が別々に言い出した可能性もあるでしょう。そして、それを耳にした人々が、なるほど、うまいことを言うなと思い、印象に残ったものを別の
機会にそのまま繰り返したり、少し変えて使ったりしながら伝承してきたわけです。そう考えると、ことわざ(の原形)は誰でも作れるし、ことわざを創作したりアレンジするのは何の問題もないことになります。
“ことわざフォーラム2013”では、「ことわざを編む」のコーナーで、ことわざのアレンジと創作に参加者全員で取り組んでみることにしました。
アレンジ部門では、当日、フォーラム会場で出題されることわざ(2問)を現代的にアレンジしてみましょう。(例、「腐っても鯛」→「溶けてもハーゲンダッツ」、「後悔先に立たず」→「後悔後を絶たず」、「嫌よ嫌よも好きのうち」→「好きよ好きよもいまのうち」)もじりやパロディでも結構です。(例、「案ずるより産むがやすし」→「あんずより梅が安い」)フォーラム当日に配布される応募用紙に書き込んでください。
創作部門は、ことわざをまったく自由に創作していただき、当日参加できない方もネットで応募できます。(ネットの応募受付は、11月1日~13日です。)
創作の際に、ヒントとなるのは、日本のことわざの相当数が体言どめで、しかもパターン化されていることです。たとえば、最初は次のようなパターンを利用し、慣れてきたら、体言どめやパターンにこだわらず、自由に作ってみてもよいでしょう。
~に~ 鬼に金棒、豚に真珠、のれんに腕押し……
~の~ 年寄りの冷水、烏の行水、縁の下の力持ち……
~も~ あばたもえくぼ、犬も歩けば棒にあたる、蓼食う虫も好き好き
~は~ 気は心、一寸先は闇、合わせものは離れもの……
~より~ 花より団子、氏より育ち、挨拶より円札……
なお、応募に際しては、ハンドルネーム(ペンネーム)と本名を併記してください。審査および発表はハンドルネームで行ない、優秀作品には賞品をご用意しています。
皆様の積極的参加と応募を期待しております。