雪の午後となりましたが、熱心な参加者が集合、和気藹々の中で話が始まりました。
私たちにとってハワイは、一番といってもいいほど身近な海外リゾートですが、その社会や言語についてはほとんど知らないということを実感させられました。
例えば、ハワイのひとびとの人種構成は白人・アジア人・ネイティブハワイアンですが、海外から投資などでやってきている外国人に対して、自らをローカルと称しています。その中で混血したひとの占める割合が世界で最も多いといわれて、まさに人種のるつぼ状態。しかも、ローカルに話されている言語は、ハワイ語や日本語を含むアジア諸語などと英語がミックスされたピジン英語(クレオールと呼ぶのが学問的には正しいそうですが)ですが、スタンダードな英語(これもどこの英語を指すのかあいまい)を話す方が良い職業につけることもあり、次第にその方向に行くのではないかとのこと。一方でネイティブのハワイ語は、アメリカなどのサトウキビプランテーションが入り込んだころから弾圧され、一時は学校のみならず、家庭でも話すことを禁じられたそうです。今はハワイ大学などでの伝承運動に加え、ハワイ語だけで教える小学校や保育園・幼稚園などもあるそうですが、ハワイ語を身につけたところで、それを将来の職業選択に生かせるわけではなく、運動にもはずみがつかない現状だそうです。
アメリカ本土などにくらべ、人種差別が少ないといわれていますが、人種に基づく社会的なクラスが隠然としてあり、その中で、ことばは人種を含むアイデンティティーのシンボルとして機能しているというお話でした。
何語を話すか、がその人を表すという社会。自分をどう見せたいかによって、ことばを話し分ける状況。日本の方言と標準語にも通じるところがあるように思いました。また、ピジン英語の中に、BENTO(弁当)BENJO(便所)など日本語の語彙がたくさんあるのにびっくり。イラスト入りのピジン英語辞典を真ん中に、参加者全員おおいに盛り上がりました。