ことば村・ことばのサロン
■ 2009・2月のことばのサロン |
▼ことばのサロン |
全日本社会貢献団体機構助成事業 講演要旨 ミャンマーのことば・名前について 「まず公用ビルマ語のことばを話してみましょうか」とスクリーンに映し出されたミャンマー語のあいさつなどを、参加者一同で声に出して唱和しました。ミャンマー文字(ハングルと同様、母音に子音を組み合わせたもの)は丸っこくてかわいい感じ、音もとても愛らしい響きです。「よく使うことばとして、『ヤバーデー』があります。『いいですよ!』という意味ですが、なんでも、いいですよ、いいですよ、と引き受けてくれます。ところが、頼んだことを忘れたり、ドタキャンしたりもしょっちゅう。でも喧嘩にはなりません。ミャンマーはヤバーデーの文化ですね」「『ターター』は親しい人への『さよなら』。これは英語起源だといわれています。ミャンマーは19世紀、イギリスの植民地でしたから」 「私たちには姓がありません。名前だけです。マヘーマーのマは40歳以下の女性に対する敬称、40以上になるとドーになるので、その時は私もドーヘーマーになるわけです。国連の理事総長だったウタントのウは40歳以上の男性の敬称、10代に対してはマウン、20~40歳に対してはコーをつけます。アウンサンスーチーもこれでひと続きの名前です」 「ミャンマーとビルマのどちらが正しいの、と聞かれますが、どちらも使います。しいていえば、ミャンマーが文語的でビルマが口語的。ミャンマーにはUNIONの意味も含まれるので、国としてはこちらを使うことが多いです」 135の民族・宗教・教育など ミャンマーの人口は5300万人、そのうち68%がビルマ族、残りをシャン族(9%)カレン族(7%)、ヤカイン族(4%)中国系(3%)インド系(2%)モン族(2%)他(5%)が占め、全体で135の民族から成る多民族国家です。「ミャンマー人はとてもひとなつっこい人たちで、私にも民族の違う友だちがたくさんいます。でも文化や価値観は違います。その違いを知ること、それが大切ですね。お互いに違いを認め合って、仲良くすることが重要です」 国民の89%は上座仏教の敬虔な信者で、徳を積むことを日々実践しているとのこと。精霊信仰も盛んで、「霊媒師を通じて『ナッ』という精霊を呼んで、前世のこと、これからのことなどを聞いたりします」 また、教育は国立のみで、小学校5年間・中学校3年間・高校2年間。高校では物理などいくつかの教科は英語のテキストを使います。大学は4年間ですが、政府の方針で閉鎖された時期もあり、マヘーマー先生も入学後数ヶ月で2年生になってしまったとか。 ひとびとの暮らし お寺への参詣が皆の一番の娯楽でもあるという信心深いお国柄、仏教にまつわる年中行事が多く、特にミャンマーのお正月にあたる4月の水掛祭りやお盆にあたる10月の灯明祭りはみんなが楽しみにしています。水掛祭りでは、徳を積むために、魚や鳥を買って、自然へ帰したりするそうです。 ひとの集まりには音楽演奏や踊りもよく演じられます。日本で有名な竪琴は宮廷音楽で、一般には小さいタイコを連ねたサインワインという楽器を中心にした楽団の演奏に人気があります。JMCCではミャンマー音楽の講座も開かれています。 現代の若者の娯楽は喫茶店でのおしゃべり、ネットカフェでのインターネット、カラオケ、お寺参りを兼ねたデートなど。スポーツは国技でもあるサッカー。また、ミャンマー人は勉強が好きで、語学学習(韓国語・日本語・英語)も人気のある余暇の過ごし方だそうです。 在日ミャンマー人の暮らしとJMCCの役割 日本にいるミャンマー人は、2003年には2万人だったのが、違法滞在者が帰国をやむなくされて現在5千人ほど。JMCCはじめ、高田馬場にあるシャン料理店など、在日ミャンマー人の心のよりどころになる場所がいくつかあり、集まっては楽器を演奏したり、ふるさとの料理を楽しんだりして、年中行事などを楽しむそうです。 昨年5月に南部デルタ地帯を襲ったサイクロンの被害は甚大なものでした。その復旧はまだ道半ば。JMCCでは募金をつのり、流された橋の架け替えを支援しました。「その橋ができあがる今年の夏、それを見に行くのが楽しみです」「多民族と文化を大事にし、共に生きること、それがミャンマーの文化であり、暮らしなのです」
以上 民族衣装のロンジーを華やかに着て、笑顔を絶やさないマヘーマー先生、ミャンマーの人たちは眼が合えば微笑んであいさつする習慣があるというお話がうなずけます。ニュースではサイクロン被害も含めて様々な問題が伝えられるミャンマーですが、そこに暮らす普通の人々の日常の一端が生き生きと感じられたサロンでした。 (事務局) |