ことば村・ことばのサロン
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「ネパールのことばと文化」
● 2012年4月7日(土)午後2時-4時30分
初めて日本を訪れたというサルジュさん、ネパール語の会話をデワナガリー文字でホワイトボードに書き、参加者ひとりずつ、発音練習をしました。英語での説明を小林会員が訳して、ネパール語の特色、ネパールの文化について聞きました。最貧国のひとつで、その原因のひとつには、教育水準がまだ低いこと、政治家が私腹をこやす場合があること、カースト制があるらしいこと、など、率直なお話に、参加者からも質問が相次ぎ、知っているようで知らないヒマラヤの国に思いをはせました。
ヒマラヤの国 ネパールのことばと文化 【ことば】
NamasTe, mero nam Sarju ho. ネパール語は国民の70%が話すインド・アーリア系の言語で、ほかにチベット・ビルマ系の言語、モンゴル系の言語がある。ネパール語の音図は日本語の五十音図の順序と同じで、母音はア、イ、ウ、エ、オ、子音はアカサタナハマヤラワである。語順は日本語と同じで、尊敬語もある。 【地理】 ネパールは東西と南をインドに接し、北を中国にかこまれた南アジアの内陸国である。ネパールは東西に800km、南北に200kmある。面積は14.7万平方km(北海道の1.8倍、北海道・九州・四国を合わせた大きさ)、人口は2,700万人。そのうち約200万人がアラブ首長国連邦、マレーシアなどに出稼ぎに行っている。カトマンズが最大の都市で人口は約500万人。 【宗教】 ネパールにはヒンドゥ教徒が最も多く、ついで仏教徒が続く。しかし、多くのネパール人はヒンドゥ教と仏教を厳密には区別せず、仏教系のお祭りにも参加する。北部山岳地帯には仏教徒も多い。9月の祭りDashainは何日も続く。ほかにもTihar、Jayanti(釈迦の誕生日)など大きな祭りがある。 【生き神様】 ヒンドゥ教には生き神様を崇拝する習慣がある。生き神様は「クマリ」と呼ばれ、Taleju神の生まれ変わりだと信じられている。ネパールには生き神様が数人いる。有名なのはカトマンズの宮殿に住む「クマリ」で、ヒンドゥ教の神であるが仏教徒である。生き神様には生理前の女性が選ばれる。 【歴史・王制】 ネパールは王制であった。1768年にグルカ族の王Prithvi Narayan shahがいくつかの小国を統一してネパールに王制を敷いた。シャーはインドから兵器の援助を受け、一時はキッシムやチベットへも進出したが、やがて、ネパールはイギリス東インド会社と対立しネパール・イギリス戦争(1814-1816)へと発展した。 【社会】 ネパールでは1924年まで奴隷制が行われていた。その後も借金のかたに奴隷になるものは後を絶たず、子どもの代までそれが受け継がれるなど、社会問題化した。 【教育】 人口の約40%が14歳以下、約60%が15歳から64歳で、65歳以上はわずか3.7%、平均年齢が20.7歳という若い国である。 【経済】 国民一人当たりの国民総生産は1,200ドルである。国民の25%は最貧困層(1日1ドル25セント未満で生活)であり、失業率は就労可能人口の40%ともいわれている。貧富の差は大きく上位10%の世帯が経済の40%を支配しているといわれる。 【文化】 ネパールの料理はインド系でdal-bhat-tarkariが有名である。ダルは豆のスープで、タルカリー(野菜カレー)とともにご飯にかけて食べる。東京にも渋谷の桜ヶ丘などネパール料理の店がいくつかあり、モモ(ネパール式蒸し餃子)、バター茶などが味わえる。 【日本とネパール】 日本とネパールの関係は現在良好であり、経済援助額はイギリスについで世界第二位である。最近では東日本大震災で帰国した中国人の農業研修生にかわってネパール人の研修生を受け入れる動きもでてきている。 以上 |