金子亨記念文庫について
金子亨先生(1933−2011)は昭和・平成の日本言語学界を代表する学者です。特に日本のアイヌ語研究、北東アジア言語研究で業績を残され、若い研究者を多数育てられました。
同時に、若いころから市民運動に深く関わって発言する活動家でもあり、地球ことば村・世界言語博物館が2003年12月に発足した時から、活動の中心的柱のひとりとして参加して下さいました。地球ことば村のテーマ:「『ことば』を市民の立場で考え、市民に情報を伝え、市民を結んでいく」に共鳴してくださったのです。
晩年の先生は、足の痛みを抱えながら、毎月の「言語学ゼミナール~ことばのサロン」に千葉のご自宅から三田の会場まで欠かさずに通ってくださいました。この例会を、ご自分の研究を若者に伝える場として、とても大切に思ってくださったのでしょう。
1年にわたる入院のあと、「退院しました。東日本大震災で床に落ちた本を片付けるのが最初の仕事になりました。近いうちにまた、例会でお目にかかります」というお便りをいただき、来月はお会いできるかと皆で楽しみにしている矢先のご逝去でした。
先生の個人ホームページが消えてしまわないよう、ご遺族のご了解を得て、地球ことば村のホームページに移転し、「言語学ゼミナール」のレジュメなどとともに、先生を記念する文庫を設置いたします。
亡くなるまで、元気でひたむきな少年の精神をお持ちだった金子先生。そのイメージを偲ぶよすがにしていただけることを願っております。