地球ことば村
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もったいない


アフリカの乾燥地に植樹を続けて、その功績でノーベル平和賞を授与されたマー タイさんが、日本語の「もったいない」をすばらしいことばですね、と言った ことから、最近「もったいない」が脚光を浴びています。使い捨て文化の対極 にあるものとして、世界語にしようという動きもあるようです。

4月11日の毎日新聞朝刊に「死語にしてしまったら もったいないぞ!」と いうタイトルで「もったいない」について書かれたコラムがありました。筆者 の赤星たみこさん(漫画家・文筆家)は「この言葉は、決して、けちけちする ことではないのです」「食べ物だけに限らず、物や事柄、チャンスを無駄にし ないことが『もったいない』の正しい解釈だと私は信じています」と書かれて います。

そうだなぁ、と思って読み、ウン?ちょっと待てよ、と思いました。「もった いない」は、時代劇で臣下の侍が殿様にあたたかいことばをかけてもらったり したときに言いますね。天皇陛下とか、偉いひとになにかをしてもらいそうに なると、「もったいのうございます」と、辞退したり。国語辞典を引いてみま した。「もったいない」は1)おそれおおい2)惜しい、と二つの意味が書いてあり ました。(角川国語辞典)

私の感覚では、この二つの意味は浸透し合っているように思います。お米を研 いで、何粒か流してしまったとき「もったいない」と言うのはお米にあたまを 下げているのだと思うわけです。「有り難い」と同じように、なにか自分より 大きな存在に恵んでいただいたものを無駄にした、ごめんなさい、というよう な感覚です。その「恵まれて在る」ということが「もったいない」の芯のよう な気がします。それがゆえに、ものや事柄、チャンスを大切に思い、無駄にで きない、と考えるのではないか、と。

「もったいない」の、この二つの意味は、切り離されたものなのか、それとも 浸透しあうものなのか、ことばの専門家に伺ってみたいものです。

《事務局》