地球ことば村
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【地球ことば村・世界言語博物館】

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雨傘



 最近ではプロ野球の試合大雨や嵐でも試合が中止になる事は、ほとんどなくなりましたね。各地にドーム球場が出来たからでしょう。

 昭和30年代野球中継が「雨天中止」、その日の天候で試合中止あるいは途中で放送が終わってしまう事が度々でした。これで困ってしまうのは、テレビ局。午後6時半頃から午後9時まではプロ野球中継を予定していたわけです。放送業界では、これを「野球が飛んだ!」というのです。
 テレビ放送開始当時はこんな何も放送出来ない状態、こんな状態を「白み(しろみ)」と言います。視聴者は待ってはくれない、もちろんチャンネルを変えて他の局に!野球を提供していたスポンサーとしては「大損害」。「さーどうする?!」テレビ局は大騒ぎになるのです。
 こんな時 登場するのが「雨傘番組」なのです。予め野球に差し替える番組を作っておくわけです。
「アフリカの動物を撮影した記録フイルム」
「東京の街をヘリコプターで撮影」
「山脈から水が流れ小川から大河になっていく 水の一生」
「あまり その季節と関係がない料理 お菓子」
 これらの番組は、野球放送予定時間内だけ何時でも切れる番組なのです。こんな番組を「雨傘番組」と呼んだのです。

 最寄駅で何時ものように電車を降りてみたら外は氷雨が降っている、家まで走れば10分もかからない。腹を決めて走り出そうとしたら 突然赤い傘が「もし良かったらどうぞ・・・!?」はっと驚くような美人が 微笑んで・・・!こんな雨傘、一生に一度は欲しいものです・・・?!


《中村和則(2022年掲載)》