ウンブンドゥ語
ウンブンドゥ語はアンゴラ共和国中南部に話されているバントゥ系の言語の一つです。アンゴラはアフリカ中西部の人口約1500万人の共和国で、元ポルト ガルの植民地だったので、公用語は未だにポルトガル語です。ウンブンドゥ語の話者人口は200万くらいといわれています。アンゴラにはこの言語の他に北部 でキンブンドゥ語が、その他の地域で、ルヴァレ語などのやはりバントゥ系の言語がいくつか話されています。
アンゴラでは、冷戦終結後に旧ソ連系の勢力とアメリカに援助された勢力との間で数年にわたって深刻な内戦が起こりました。それには北部の油田、南 部のダイアモンドなどの資源が関わっていました。内戦のなかで何百人もの人々が犠牲になったと言われます。2002年に停戦合意がなされて一応の和平が保 障された後でも、全土に敷設された地雷による犠牲が後を絶ちません。
バントゥ系の諸語は大体が語尾が母音で終わる開音節の語からなっています。母音は8ヶで、高低アクセントをもつことが多いようです。名詞には特有の接頭辞が ついて、それが人間、植物、動物などを表す標識となっています。動詞も独特な構造を持っています。語幹の前には、主格や時制を表す接辞が、動詞語幹の後ろ には受け身などを表す接尾辞がつくというように、語幹を中心に前後にふくれるという構造を作ります。これもバントゥ(「ひと」を意味します)諸語の特徴の 一つです。
アフリカの広域語として使われるスワヒリ語は、バントゥ諸語をもとに作られたものですから、スワヒリ語の入門書などから、この言語の大凡の姿をしることができます。またいくつかのウンブンドゥ語の紹介本もあります。
《金子亨:言語学(2008年掲載)》