ティフィナグ文字 英 Tifinagh
ティフィナグ文字は,モロッコ,アルジェリアなど主にアフリカの北西部およびサハラ周辺に住む,セム・ハム語族に属するベルベル人が話すベルベル諸語を表記するための文字。
古代のリビア文字(ヌミディア文字)と,近現代のティフィナグ文字を総称してベルベル文字と呼ばれる。ティフィナグ文字は,カルタゴのポエニ文字(新フェニキア文字)と密接な関係がある古代のリビア文字の直系で,アルジェリアのベルベル人が継承してきたといわれる。[1] 古代のリビア文字は,別掲「古代ベルベル文字」を参照。
ベルベル人の歴史は他民族による侵略と支配の歴史である。有史以来カルタゴに植民都市を建設したフェニキア人から始まり,ローマ帝国,ヴァンダル族,東ローマ帝国,アラブ人と続き,近代ではフランスによる植民地支配を受けた。現在ベルベル人のほとんどはイスラム化し,アラビア語・アラビア文字が主に使われる。モロッコの公用語は,アラビア語で,第二言語はフランス語である。[2]
モロッコでは,2003 年から「アマジグ語 Amazigh」という教科が義務教育の授業に導入された。導入にあたっては,ベルベル言語・文化王宮アカデミー(Institut Royal de la Culture Amazighe = IRCAM)主導のもと,地域差のあるベルベル語を取捨選択して語彙がまとめられ,文法が整備された。[3]
文字構成
現行ティフィナグ文字は,子音字 29,母音字 3,それに,3 つの子音の連続を回避するために挿入される文字(表右下隅)からなる。
IRCAMティフィナグ文字表 [Mikael Parkvall / CC BY-SA 3.0/ 出典] |
ベルベル語テキスト
世界人権宣言タマジグト(アマジグ)語
出典:世界人権宣言,Font: Noto Sans Tifinagh
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ユニコード
ティフィナグ文字のユニコードでの収録位置は U+2D30..U+2D7F である。
注
- ^ 「ティフナグ文字」町田和彦編 (2011)『世界の文字を楽しむ小事典』大修館書店, p.241.
- ^ 同上 p.241.
- ^ 堀内里香 (2009)「ベルベル語」梶茂樹, 中島由美, 林徹編『事典世界のことば141』大修館書店, p. 515.
関連リンク・参考文献
- ティフィナグ文字
- 中西コレクション (国立民族学博物館)ベルベル文字
- Omniglot: Tifinagh
- L' écriture libyco-berbère et les tifinagh
- Tawalt - a Libyan Berber site in the Tifinagh and Arabic scripts
- Tamazight Tifinagh
- 石原忠桂 (2018)「ティフィナグ文字」大城道則編『図説古代文字入門』河出書房新社.
- 矢島文夫 (2001)「ベルベル文字」河野六郎, 千野栄一, 西田龍雄 編著『言語学大辞典 別巻 (世界文字辞典)』三省堂.
[最終更新 2021/12/11]