ヌビア文字 英 Nubian script
およそ 6 世紀から 13 世紀の間,北アフリカのナイル渓谷に存在したキリスト教王国で使用されていた文字。キリスト教を受容したヌビア王国では礼拝用言語としてギリシア語が採用されたが,時々,コプト語やヌビア語で書かれた聖典が存在する。これら聖典においてヌビア文字で書かれた言語を,古ヌビア語と呼んでいる。古ヌビア語には,いくつかの方言的変種が存在するが,その中のよく知られているものは,現在,北部スーダンのドンゴラ(Dongola)からスーダンとエチオピアとの国境にかけてのナイル渓谷で話されているヌビア語マハス(Mahas)方言とほぼ同じ言語である。[1]
ヌビア語手稿(大英博物館蔵)Griffith, F. Ll. (1913) The Nubian texts of the Christian period. Internet Archive |
文字構成
ヌビア文字は,ギリシア文字の字形と書記法を採用している。実際に用いられた字形は,現在のギリシア文字の活字体とは違い, 10 世紀以前に広く行き渡っていたアンシャル(uncial)書体として知られている丸みのある書体であった。使われた文字には,大文字と小文字の区別はない。
ヌビア語テキスト
サンプルテキスト
John 20:9-12 [SIL Language Technology: Sophia Nubian / テキスト] |
ユニコード
ユニコードにおけるヌビア文字は,コプト文字 U+2C80..U+03EF に含まれている。
注
- ^ 稗田乃 (2001)「ヌビア文字」河野六郎, 千野栄一, 西田龍雄 編著『言語学大辞典 別巻 (世界文字辞典)』三省堂, p. 711.
関連リンク・参考文献
[最終更新 2021/12/11]