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【地球ことば村・世界言語博物館】

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世界の文字

古代ベルベル文字 英 Ancent Berber script


アフロ・アジア語族(セム・ハム語族)に属する北アフリカのベルベル語使用者が古代に用いた文字。古代リビア文字(Libyco-berbere,ヌミディア Numidia 文字)ともいう。近現代のティフィナグ文字と併せてベルベル文字と呼ばれる。[矢島: p. 907]

リビア文字は,今日のチュニジアあるいはリビア地方で,カルタゴ(チュニジアの古代都市)のポエニ文字(新フェニキア文字)の影響を受けて作られ,主としてヌミディア王国の盛期(前 2 世紀前半,この王国はローマの要請を受け,カルタゴ攻撃に加わった。ヌミディアという名は,ギリシア語ノマーデス νομάδες「遊牧民」を語源とするローマ側の呼称)に多くの銘文が作られた。[矢島: p. 907]

中でも,チュニス西南に位置するドゥッガ(Dugga,今日のトゥッガ Tugga)からは,1613 年以降多数の碑文が出土し,1843 年にはド・ソルスィ(de Sauley)により各文字の音価が解読され,これらによりこの文字が表すリビア語(古代ベルベル語)の研究が進められてきている。1904 年に,同じ場所で約 1 千行のリビア語ーポエニ語対訳碑文が出土したが,これには,ローマ史料ですでに知られていたヌミディア王マッシニッサ(Massinissa,前 148 没)の息子ミキプサ(Micipsa)が在位 10 年目(前 139)に父王を記念して立てさせたことが記されており,年代が記載された唯一の銘文とされる。[矢島: p. 907]

文字構成

リビア(ヌミディア)文字は,ほとんどが左右対称形をなす 23~25 個の子音文字(ほかに,十数個の組み合わせ文字がある)からなり,マッシニッサ銘文のようにポエニ語銘文に合わせた右から左への横書きのものがあるが,大半は,下から上への書字方向(各行は,右から左と左から右の 2 種類がある)で岩石に記さまれおり,ほかにはまず類例のない書字方向といえる。書字方向によって,縦書き用(waager)と横書き用(senkr.)の文字がある。[矢島: p. 907]

文字構成 [Haarmann: p. 417]

ベルベル語テキスト

「マッシニッサ銘文」 ポエニ語ヌミディア語 2 言語併記

「マッシニッサ銘文」[Haarmann: p. 413]


上掲 6-7 行の翻字・標準表記・語訳 [O'conner: p. 122]

関連リンク

[最終更新 2021/12/10]