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【地球ことば村・世界言語博物館】

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世界の文字

シベ(錫伯)文字 英 Sibe script


 出典:『锡伯 (满) 语词典』序 [1]
シボ文字ともいう。満洲族は,1599 年に蒙古文字を基に改造した満洲文字(満文)を創った。初期の無圏点字形(老満文)の段階から,満洲語の形式に適合させ改良した有圏点字形(新満文)へと進展した(1632)が,辛亥革命(1911)によって満朝が倒壊するとともに,満洲族はこの文字の使用を放棄するに至った。

ところが,消滅したはずの満洲文字が,はるかに離れた西方新疆の地で,満洲八族の一つ錫伯族の手によって保存伝承されていた。清政府は,18 世紀の中頃乾隆 29 年(1764)に,盛京所属の各地から召集したシベ族官兵 1,020 人とその親族を加え計 3,275 人を 2 隊に分けて,新疆の辺地防衛のため,伊犁に派遣し,その地に駐留させた。そのシベ族駐留軍が,代々,その言語を伝えるとともに,その文字を伝承していた。察布査爾錫伯(チャプチャル・シベ)自治県は,新疆ウイグル自治区イリ・カザフ自治州に位置する中国で唯一のシベ族の自治区である。

1947 年以降,シベ族の言語政策者たちは,錫伯索倫(シベ・ソロン)文化協会(錫索協会)を設立して,民族の言語文字工作を行い,シベ語のその後の発展を反映して,満洲文字の個々の字形を多少修正するとともに,必要な音節を加えて不必要な音節を削除した。いま流通するシベ文字はその改良案である。 [2]

シベ文字構成

シベ文字の構成は満洲文字と基本的に変わりなく,個々の字形は,語頭形,語中形と語末形をもち,母音字はその 3 形のほかに,さらに独立形をもつ。

縦書き文字であり,個々の字形を単語ごとに 1 本の縦線でつないでいく形態をとる。行は,左から右に移す。個々の字形は,頭(uzhu,牙(argan,圏(fuka,点(tongki,尾(unchehen)に分析できるが,ng を除いてすべて単体字である。

シベ文字全体は下に示す 40 種の単音字形からなる。 [3]



母音字には,表に載せた 6 文字(1~6)と,下記の独立形がある。

子音字には,子音字(7~30)と,借用語専用字(31~40)がある。
k, g, h には 2 字形がある。 i) a, o. uu 母音に続く形(8~10ii) e, i, u 母音に続く形(11~13
t, d にも 2 字形がある。 i) a, o. uu, i 母音に続く形(18~19ii) e, u 母音に続く形(20~21

シベ文字テキスト

ユニコード

シベ文字は,モンゴル文字ブロック U+1800..U+18AF 内に収録され,下の表で赤字で示した部分である。なお,Daicing.com で配布しているフォントは,シベ文字のみ収録している。

関連リンク

[最終更新 2023/11/10]