オガム文字 英 Ogam script/alphabet,Ogham script/alphabet
マン島の Ballaqueeney 碑文, 520 年 [Shimmin Beg / Public Domain / 出典] |
オガム文字の起源は,母音・子音の分け方などいろいろな点から,ラテン文法家の音韻の分け方になぞらえており,ローマ・アルファベットの影響下に作成されたとの考えが一般的である。制作年代は,見いだされる碑文の最古の例からあまり時期の隔たっていない紀元後 400 年頃から,紀元前の可能性もあるという説まであり,現在までのところ確定的なことのいえる資料は見いだされていない。 [1]
文字構成
アルファベットの縦の線は,この文字の刻み込まれている石の角(arris)を表している。母音は点(notch)で表しているが,母音を表す文字を刻むときに,角を越えて左右に少し長く刻むこともあるので,書物によっては,縦の線から左右に水平の線を他のアルファベットと同じくらい長く書くことで,表している場合もある。 [2]
アルファベットの各々には,綴りがその文字で始まる樹木名がすべてに当てられている。これは,樹木のもつ魔術的な力に対する信仰の表れかとされているが,このような伝統的な考えに対して疑義・批判もある。[2]
[CC BY-SA 3.0 / 出典] |
上記文字のほかに,forfeda(= extra letters)と呼ばれる 5 文字がある。写本では下に記入したような二重母音の音価が与えられているが,実際には,最初の文字から順に ē,ō,y,p,x 音と推察されている。[2]
オガム文字は,大部分の場合は,石の角の部分に沿って刻まれており,通常下から上に刻み込む。この場合,時には石の 2 つの角を使用し,稀には 3 つの角を使用する場合もある。少数の場合には,それは別々の碑文であるが,大部分の場合は 1 つの碑文の継続したものである。その場合,(1) 下から上へ,上から下へ(up-down ↑↓),(2) 下から上へ,頂上,上から下へ(up-top-down ↑→↓),(3) 下から上へ,下から上へ(up-up ↑↑)へと刻まれる。 [3]
オガム文字テキスト
サンプルテキスト
出典[4] |
ユニコード
オガム文字のユニコードでの収録位置は U+1680..U+169F である。
注
- ^ a b 吉岡治郎 (2001)「オガム文字」河野六郎, 千野栄一, 西田龍雄 編著『言語学大辞典 別巻 (世界文字辞典)』三省堂, p. 182.
- ^ a b c 吉岡 p.183.
- ^ a b 吉岡 p. 184.
- ^ McManus, Damian,熊切拓訳 (2013)「オガム文字」Peter T.Daniels, William Bright [編] ; 矢島文夫 総監訳 『世界の文字大事典』朝倉書店, p. 365.
関連リンク・参考文献
- オガム文字 | Ogham inscription
- Omniglot: Ogham
- Every Ogham Thing on the Web
- Ogam-Inschriften: Einzelne Inschriften