ヴェネト文字 英 Venetic alphabet,独 venetisches Alphabet,仏 alphabet vénète,伊 alfabeto venetico
ヴェネト語は,古代イタリア北東部,アドリア海の北部沿岸地帯で,前 6~前 1 世紀頃に用いられた言語で,諸種の碑文がその資料である。[1]
文字構成
ヴェネト語のアルファベットは,エトルリア文字(エトルスク文字)に由来する。エトルスク語アルファベットは,北および南に流布したが,北はアルプス山麓地帯に達し,いわゆる北エトルスク・アルファベットに属す。[2]
ヴェネト語のアルファベット [3] |
ヴェネト語テキスト
ヴェネト語の資料に,イタリア北東部の町エステ(Este,古名 Ateste)から出土したアルファベット青銅板奉納文がある。数あるアルファベット板のうち,"ISCRIZIONI VOTIVE SU LAMINE ALFABEICHE (TEMPIO DI REITIA) (PP Ea 25, MLV 10, 17.5 × 12.5 cm )" Zavaroni, Adolphus は,ほとんんど完全に保存されている。
碑文は "Ancient North Italic Inscriptions", Este を参照。
碑文は図最下列より始まり,上に進む,第 1 行は子音のアルファベット(右から左へ),最初の 5 字が喪失している。……l,m,n,p,ś,r,s,z,φ,χ,ii (s の次,t の代わりに z がきている)。第 2~5 行は akeo の 16 連字,第 6 行から第 8 行までは,右から左へ,子音連字 υhr, υhn,……,zr,zn/ (左側へ垂直に曲がり)zl,mr,mn,m/ (上側へ) l,pr,pn,pl, śr,śn,śl,sr,sn,sl,kr,kn,kl,kυ,υh/(そして,半円形の輪へ)φr,φn,φl,χr,χn,χl,第 9~11 行は奉納文が記されている。 [4]
注
- ^ 蛭沼寿雄 (2001)「ヴェネト文字」河野六郎, 千野栄一, 西田龍雄 編著『言語学大辞典 別巻 (世界文字辞典)』三省堂, p. 122.
- ^ 蛭沼 p. 124.
- ^ Jensen, Hans (1969) Sign, symbol and script: an account of man's efforts to write. Putnam, p.509]
- ^ 蛭沼 p. 123.
関連リンク
- Venetic language
- Adolphus Zavaroni “Ancient North Italic Inscriptions”
[最終更新 2021/11/09]