ウンブリア文字 英 Umbrian alphabet,独 des umbriscshe Alphabet,仏 alphabet ombrien,伊 alfabeto umbro
古代イタリア中西部のウンブリア語を表記した文字。伝承によれば,ウンブリア人はイタリアにおけるイタリア系の最古の種族であり,前 5 世紀のギリシア人によって,中央および北部イタリア全体に「オムプリケー Όμβρική」なる名称が付けられた。そして,彼らの町 300 がエトルスク人によって征服された。エトルスク人が彼らに書く術を教えたことは明らかで,ウンブリア文字はエトルスク文字によっている。[1]
文字構成
ウンブリア文字表 [2]
ウンブリア語サンプル
ウンブリア語の資料は,ほとんど「イーグウィウム青銅板 Tabulae Iguvinae」碑文に限られている。この青銅版は,1444 年ウンブリアの町現名グッビオ (Gubbio),古名イーグウィウム (Iguvium) で,碑文の記された 9 枚が発見された。碑文の言語はウンブリア語であり,ウンブリア文字とラテン文字でも記された。イーグウィウム青銅板の内容は,ローマ共和制時代イーグウィウムで活躍したアティエディウス兄弟 (frater atiieřius) と称される祭司の一族の宗教儀式に関する規定である。図は,ウンブリア文字で,右から左へ記される。右図は,ウンブリア文字(右から左へ),ラテン文字(左から右へ)で記される。 [3]
イーグウィウム青銅板 [Sailko / CC BY 3.0 / 出典] |
青銅板の詳細図 [scoosciuto / Public Domain / 出典] |
注
- ^ 蛭沼寿雄 (2001)「ウンブリア文字」河野六郎, 千野栄一, 西田龍雄 編著『言語学大辞典 別巻 (世界文字辞典)』三省堂, p. 140.
- ^ Jensen, Hans (1969) Sign, Symbol and Script - an account of man's efforts to write. G. P. Putnam's Sons, p. 509.
- ^ 蛭沼 p. 141.
[最終更新 2021/11/09]