ゲール文字 英 Gaelic alphabet
ゲール文字(アイルランド文字 Irish alphabet とも)は,印欧語ケルト語派中,アイルランド語を主とするゴイデリックグループ(the Goidelic group of dialects,Q ケルト語とも,他にマンクス語,スコットランド・ゲール語)で古来使用されてきた文字で,18 の字母からなる。長母音にはアクセント記号がつく。ゲール文字で現代アイルランド語を表記するには都合 32 の文字が必要である。現行のゲール文字は,古アイルランド語の古写本に特徴的なラテン文字の書体を活字に移し替えたものである。 [1]
文字構成
古写本に見いだされる書体に 2 種類あり,各々マユスキューレ (MAJUSCULE),ミヌスキューレ (MINUSCLE) と呼ばれる。視覚的には,前者がラテン文字に近いが,現在のゲール文字は後者の直系である。ゲール語では,印欧祖語以来の閉鎖音がすでに古アイルランド語において摩擦音に変化していた。この推移は古語では書法に反映されていないが,近代の綴字法では bh,dh,gh などを表す際に当該文字の上部に点を打つしきたりになっている。 [2]
マユスキューレ体
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ミヌスキューレ体
[Convent of Pater Noster / Old Irish] |
現代ゲール文字
Duibhlinn (1906年のモノタイプシリーズ 24 A を元に作られた 1993 年のデジタルフォント) [Evertype / CC BY 2.5 / 出典] |
ゲール文字表[3]
ゲール文字コード表
注
- ^ 秦宏一 (2001)「ゲール文字」河野六郎, 千野栄一, 西田龍雄 編著『言語学大辞典 別巻 (世界文字辞典)』三省堂, p. 396.
- ^ 秦宏一 p. 397.
- ^ フリーフォント Bunchló を使用。
関連リンク
- ゲール文字 | ゲール語
- 中西コレクション (国立民族学博物館)アイルランド文字
- O'Neill,Timothy; introduction by Francis John Byrne (1984) The Irish hand : scribes and their manuscripts from the earliest times to the seventeenth century : with an exemplar of Irish scripts. (Mountrath, Portlaoise, Ireland : Dolmen Press)
[最終更新 2021/11/10]