テングワール 英 Temgwar

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テングワールによる世界人権宣言第1条 [J. 'mach' wust / Pubic Domain / 出典] |
クウェンヤ語は,トールキンの『ホビット』,『指輪物語』などの「中つ国」を舞台とした作品の中で,エルフ族(エルダール)が話す言語の一つである。その文法と音韻論はフィンランド語に似た音韻また文法(名詞の格,動詞活用など)をもつ。エルダール語には 2 種類あり,上のエフル語すなわちクウェンヤ語と,灰色エルフのことばシンダール語(後述)である。
文字構成
『指輪物語 追補編』[1]の追補 E に第三紀の西方諸国で用いられたテングワールの一覧表が掲載されている。子音は「基本文字」24 文字と「追加文字」16 文字からなる。クウェンヤ語における音価[2] は筆者が追記したものである。

基本文字
「基本文字」の子音 24 個は,楯列 I~IV の系列で調音部位を,横列 1~6 の階梯で調音方法と発声を決定した。各字母は軸線の伸びが下だと閉鎖音(破裂音),上だと閉鎖が開いて摩擦音となり,弓形線が 1 つで無声,2 つで有声となった。軸線が上下に伸びていない有声音の階梯 5 は鼻音であり,この流れでは階梯 6 は無声鼻音となるが,フェアノール文字を用いる言語でそういった音は滅多になかったので,階梯 6 には各系列で最も弱い子音,もしくは「半母音」的子音(semi-vocalic consonants)があてられる場合が多かった。[3]
追加文字
24 の基本的文字以外を追加文字と呼ぶ。追加文字で厳密に独立した文字は 27 と 29 のみで,他の文字の変形であり,一般的に割り振られた音価も同様に元の文字の音から変異した音であった。
母音
母音(テフタール tehtar)は,クウェンヤで「記号」を指す。文字に添えることで,母音や(補助的に)子音を表わす。テフタを使う場合は,クウェンヤ・ラテン語のように母音で終わることが多い言語では,母音を直前の子音の上に置く「クウェンヤ式」の読み方をし,子音で終わることが多いシンダール語・英語のような言語では,母音の次の子音字の上にテフタを置く「シンダール式」の読み方をする。[4]

数字
数字は右から左へ書く。[5]

各種モード
シンダール語
シンダール語あるいはシンダリン(Sindarin)は,トールキンの神話では,かつて最も使われたエルフの言語だった。また,エルフの「大いなる旅」の後に残されたテレリであるシンダールの言語で,共通テレリ語と呼ばれる初期の言語から派生した。ここでは,母音も独立した文字で表す完書体(ベレリアンドのモード)が使われている。[6]
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ベレリアンドのモードで書かれた詩 'Elbereth Gilthoniel' [Sémhur / CC BY-SA 4.0 / 出典] |
暗黒語
トールキンのファンタジー小説に登場する架空の魔法の指輪「一つの指輪 'One Ring'」に,モルドール族の暗黒語で書かれた刻文。「一つの指輪」は普段は飾りのない金の指輪にしか見えないが,火で熱すると指輪の表と裏に火文字が浮かび上がる。これはサウロンの燃えるような手を指輪が恋うるためであるという。火文字にはエルフの文字が使われているが,その言葉はモルドールの暗黒語(ブラックスピーチ)である。[7]
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注
- ^ J.R.R.トールキン [著] ; 瀬田貞二, 田中明子 訳 (2003)『指輪物語 10 追補編』(新版)評論社, p. 213.
- ^ Quenya
- ^ フェアノール文字
- ^ テフタール
- ^ Omniglot Quenya
- ^ シンダール語
- ^ 一つの指輪
関連リンク・参考文献
テングワール
- Amanya Tenceli: The Tengwar of Feanor | Tengwar - English General Use | Tengwar - The Classical Mode
- The One Wiki to Rule Them All Tengwar