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【地球ことば村・世界言語博物館】

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世界の文字

テングワール 英 Temgwar


テングワールとは,J・R・R・トールキンの創作した架空文字。テングワールという言葉は,クウェンヤ語で文字を意味する名詞の複数形である(単数形はテングワ Tengwa)。

トールキンはまた、作品を書くためにいくつかの異なる文字体系(Mode)を作成した。テングワール(フェアノール文字)は,彼の作品で最も頻繁に現れ,クウェンヤ語やシンダール語,暗黒語などの彼が発明した言語を書くのに用いられた。それはまた、英語や他の言語を書くために使用することが可能であった。例は世界人権宣言第1条 英語

文字構成

子音は「基本文字」24 文字と「追加文字」16 文字からなる。

基本文字

基本文字の子音は,調音点 [t, p, k, kw] を表す系列( I~IV テマール temar)と調音形式(破裂音か摩擦音か,など)を表す階梯(1~6 ティエルレア tyeller)がある。表においては、上の六段が基本文字で、縦列が系列、横列が階梯になっている。系列と階梯に従って形状が規則的に変化する。1~4 が標準的な形であり,ルーヴァ(lúva)すなわち「弓形線」(bow)の向きとその開閉で系列を示し,弓形の数とテルコ(telco)すなわち「軸線」(stem)の伸びとその向きで階梯を示した。

次に,I~IV の系列で調音部位を,1~6 の階梯で調音方法と発声を決定した。軸線の伸びが下だと閉鎖音(破裂音),上だと閉鎖が開いて摩擦音となり,弓形線が一つで無声,二つで有声となった。軸線が上下に伸びていない有声音の階梯 5 は鼻音であり,この流れでは階梯 6 は無声鼻音となるが,フェアノール文字を用いる言語でそういった音は滅多になかったので,階梯 6 には各系列で最も弱い子音,もしくは「半母音」的子音(semi-vocalic consonants)があてられる場合が多かった。


追加文字

24 の基本的文字以外を追加文字と呼ぶ。追加文字で厳密に独立した文字は 27 と 29 のみで,他の文字の変形であり,一般的に割り振られた音価も同様に元の文字の音から変異した音であった。

母音(テフタール)

テフタール(tehtar)は,クウェンヤで「記号」を指す。文字に添えることで,母音や(補助的に)子音を表わす。テフタを使う場合は,クウェンヤ・ラテン語のように母音で終わることが多い言語では,母音を直前の子音の上に置く「クウェンヤ式」の読み方をし,子音で終わることが多いシンダール語・英語のような言語では,母音の次の子音字の上にテフタを置く「シンダール式」の読み方をする。

各種モード

クウェンヤ

クウェンヤ語は,トールキンの『ホビット』,『指輪物語』などの「中つ国」を舞台とした作品の中で,エルフ族(エルダール)が話す言語の一つである。その文法と音韻論はフィンランド語に似た音韻また文法(名詞の格,動詞活用)をもつ。エルダール語には 2 種類あり,上のエフル語すなわちクウェンヤと,灰色エルフのことばシンダールである。上のエルフ語は,大海のかなたのエルダマールの古語であり,文字に書いて記録された最初のことばである。それはもはや日常語ではなかったが,いってみれば「エルフのラテン語」とでもいったらよいものになっていた。第一紀の末に故国を去って,「中つ国」に戻ってきた上のエルフたちによって,儀式の場合や,あるいは伝承,歌といった高尚な事柄を表現する場合に,それまでどおり使われてきたのである

ナマリエ

エルフ語の詩歌「ナマリエ」は、『指輪物語』の第一部、旅の仲間篇にて登場します。Namárië

シンダール語

シンダール語あるいはシンダリン(Sindarin)は,トールキンの神話では,かつて最も使われたエルフの言語だった。また,エルフの「大いなる旅」の後に残されたテレリであるシンダールの言語で,共通テレリ語と呼ばれる初期の言語から派生した。ノルドールが「中つ国」に戻った時,生来のクウェンヤの方が美しいと考えたが,シンダール語を採用した。没落の前,ヌーメノールのほとんどの人間もまたこの言葉を使った。それについての知識はヌーメノールの亡国の民の王国ゴンドールの特に学識者の間で維持された。

もとは,ノルドール(エルフの第二の氏族)の言葉にしようと考えていたが(そのため,語源学的に名前もノルドール語 Noldorin だった),トールキンはその後シンダールの言語であると決定した。このために,古い資料ではノルドール語と呼ばれている。ノルドール語をシンダール語にした時,さらに,それはもとは無関係なイルコール語(Ilkorin)のいくつかの特徴を採用した。トールキンは,いくらかウェールズ語に基づいてノルドール語/シンダール語の文法および音を作り,確かに,シンダール語にはケルト語を特徴づける音変異が多く見られる。

モリア西門「ドゥリンの扉」の銘

モリア西門の銘文はベレリアンドで用いられた,シンダール語を表記する方式の一つで書かれている。これは母音も文字で表す方式であり,『The Road Goes Ever On』に掲載されたエルベレスの賛歌の歌詞にも用いられている。【参照】What language was the inscription on the Doors of Durin written in?
Transliteration
Ennyn Durin aran Moria: pedo mellon a minno!
Im Narvi hain echant. Celebrimbor o Eregion teithant i thiw hin.

Translation
Gate of Durin, King of Moria, say friend and enter!
I, Narvi made them. Celebrimbor of Eregion drew these signs.
(inscription on the Gate of Moria)

暗黒語

トールキンのファンタジー小説に登場する架空の魔法の指輪「一つの指輪」に,モルドール族の暗黒語で書かれた刻文。
「一つの指輪 One Ring」は,トールキンのファンタジー小説に登場する架空の魔法の指輪。トールキンが創作した中つ国世界を舞台としたシリーズのうち,第 1 作である『ホビットの冒険』から登場し,その続編『指輪物語』ではこの指輪を巡る物語が描かれる。
「一つの指輪」は普段は飾りのない金の指輪にしか見えないが,火で熱すると指輪の表と裏に火文字が浮かび上がる。これはサウロンの燃えるような手を指輪が恋うるためであるという。火文字にはエルフの文字(フェアノール文字)が使われているが,その言葉はモルドールの暗黒語(ブラックスピーチ)である。暗黒語でなくエルフの文字が使用されたのはガンダルフの推測するところ,暗黒語は精緻な細工には向いていないからであろうとのことである。

一つの指輪は全てを統べ、
一つの指輪は全てを見つけ、
一つの指輪は全てを捕らえて、暗闇の中に繋ぎとめる。

関連リンク・参考文献

[最終更新 2019/06/20]