カリア文字 英 Carian script
カリア文字は,プリュギア文字,リュディア文字,リュキア文字などと同じく,小アジア系のアルファベットに属し,ギリシア文字を基盤として,それに独自の文字を加えて作られたものと見られる。
文字構成
この文字には資料の所属する地域によってかなりの違いが見られるが,大別すると,小アジアのカリア,カリアの中で特別な位置を占めるカウノス(Kaunos),そしてエジプトの 3 つの文字体系に分類することができる。この中で,エジプト出土の資料は,紀元前 6 世紀のエジプト諸王に雇われたカリア人の傭兵たちの残したものである。
これまでに知られる全資料の中で識別された文字の数はおよそ 45。これらは,ギリシア文字に対応する場合はそれに準じて,そうでないものはそれぞれの文字の大体の頻度順に配列されて文字番号が付されている。
カリア語テキスト
サンプルテキスト
トルコ南西部、小アジアにあった古代都市カウノス出土の 2 ヶ国語碑文。1996 年に 3 つの断片で発見され。上部がカリア語,下部がギリシャ語の 2 言語で書かれている。[Dosseman - Trabajo propio / CC BY-SA 4.0 / 出典] |
カリア語碑文
現在のところ最も長文のカリア語碑文とされている。[Masson, Adiego]
ユニコード
ユニコードのカリア文字の範囲は U+102A0..U+102DF である。対応するフォントは, Quivira, ALPHABETUM Unicode font などがある。
注
- 松本克己 (2001)「カリア文字」河野六郎 [ほか] 編著『言語学大辞典 別巻 (世界文字辞典)』三省堂.
- Masson, Olivier (1973) Un nouveau fragment d'inscrition carienne de Kaunos. Anadolu 17.
- Adiego, Ignacio J. (2007) The Carian language. Leiden : Brill.
参考サイト
- Carian alphabets
- Omniglot Carian
- ScriptSource Carian
[最終更新 2022/03/15]