チェロキー文字 ᏣᎳᎩ 英 Cherokee
チェロキー文字の考案者シクウォイヤ [Lithographer: Lehman and Duval / Public Domain / 出典] |
チェロキー・インディアンの シクウォイア (Sequoya, 1770~1842[一説によると 1760~1843], 英語名 George Guess) が 1820 年前後に音節文字を完成した。ヨーロッパ人の操る「喋る紙」を同胞にも与えようという夢にとりつかれ,ながらく周囲の反対と嘲笑にあいながら文字作成に没頭した。最初1語に1つの象形的な文字を定めていくことから始まったが,やっと考案した文字が数千に達したころ,その奇行を断念させようとした親戚筋に長年の辛苦の成果を焼き払われてしまい,記憶にはほんのわずかの文字しか残らなかった。このことが,シクウォイアに自分の方法の誤りを気づかせ,音節文字を作り出すことになった。[2]
文字構成
シクウォイアが最終的に完成した 85 の音節文字は,1827 年に宣教師ウスター (Samuel A. Worcester) によって活字体化されたが,その際,字形はいくぶん修正された。この活字体は,大部分がラテン文字に似ているが,アラビア数字を借用したように見える文字があり,また,どんな文字体系にも類似の形が見られないような文字もある。ラテン文字を借用した場合も,それらのヨーロッパ語における通常的な音価と一致しない。
85 の文字のうち,6つは母音を表し,残りの 77 文字は子音プラス母音の開音節を表すが,例外的に1つは単子音 /s/ を表し,のちに用いられなくなった1文字は閉音節 /nah/ を表したものかと推定されている。使用頻度の低い音節には,特別の文字がない。たとえば,(/ka/ には /kha/ とは別の文字があるが) /ko/ は /kho/ と同じで,/to/ は /tho/ と同じ文字で表される。長母音は短母音と区別されず,音調も表示されない。
チェロキー語テキスト
サンプルテキスト
神の子が我々のために .... 「神の子が我々のために償われた(我々の罪のために償われた)。それから彼は天に行った。彼はすべてを我々のために償った。しかし彼は立ち上がったときに再び言った。「私は再び戻ってくる」彼が話したときにそう言った」[3] |
手書き文字の例
手書き文字[4] |
ユニコード
チェロキー文字のユニコードでの収録位置は U+13A0..U+13FF である。Unicode 3.0 (1999 年) からユニコードに登録された。
注
- ^ 大島稔 (1988)「チェロキー語」河野六郎, 千野栄一, 西田龍雄 編著『世界言語編(中)』三省堂, p. 721.
- ^ 宮岡伯人 (2001)「チェロキー文字」河野六郎, 千野栄一, 西田龍雄 編著『言語学大辞典 別巻 (世界文字辞典)』三省堂, p. 593.
- ^ Scancarelli, Janine / 江村裕文 (2013)「チェロキー文字」Peter T.Daniels, William Bright [編], 矢島文夫 総監訳, 石井米雄, 植田覺, 佐藤純一, 西江雅之 監訳『世界の文字大事典』朝倉書店, p. 625.
- ^ Jensen, Hans (1969) Sign, Symbol and Script. (putnam's Sons), Fig. 202, p. 243.
関連リンク
- Cherokee syllabary | チェロキー文字 | ᏣᎳᎩ (Cherokee)
- 中西コレクション (国立民族学博物館)チェロキー文字
- Native Languages of the Americas