チャクマ文字 英 Chakma script
バングラデシュの東南部,チッタゴン丘陵地区(Chittagong Hill Tracts)のカルナプリ(Karnaphuli)川の東岸に位置する首邑ランガマティ(Rangamati)を中心に同川の中流域と,さらに,わずかながらインド東北部,大アッサム地域に分布するチャクマ語を書き表すのに用いられる文字。この文字は,アッサムにアーホム王国が成立したとされる 13 世紀以降,アーホム文字・カムティー文字に範をとり生まれたものに,おそらくアラカン地方を通じてビルマ文字の影響が及んだものと推定される。 [1]
チャクマ文字 [中西印刷 / CC BY-SA 3.0 DEED/ 出典] |
文字組織
頭子音字
子音結合/尾子音の表記
子音結合には,次のものがある。尾子音の表記には,頭子音字の上に横棒(殺母音符号)を付して示す。
母音符号
母音符号なしは,常に長い母音 aa を示す。母音符号 <-a> を付加すると,短い a になる。
独立母音字
母音で始まる音節の表記は,次ぎにあげる独立母音字が用いられたが,近年は“'”と母音符号の組み合わせで綴られるようになった。
数字
数字は次の通りである。
チャクマ語テキスト
世界人権宣言 第一条 Chakma
ユニコード
Unicode 6.1 (2012) からチャクマ文字はユニコードに追加(U+11100..U+1114F) された。
チャクマ文字仮想キーボード
Chakma Virtual Keyboard から,ユニコード対応チャクマ文字フォント及び仮想キーボードを入手する。
注
- ^ 藪司郎 (2001)「チャクマ文字」河野六郎, 千野栄一, 西田龍雄 編著『言語学大辞典 別巻 (世界文字辞典)』三省堂, p. 601.
関連リンク・参考文献
- Chakma alphabet
- Omniglot: Chakam alphabet
- 中西コレクション (国立民族学博物館)チャクマ文字【参照】中西亮 (1994)「チッタゴンヒルのチャクマ文字」『文字に魅せられて』同朋舎出版, pp. 91-94.
- 八木毅「チャクマ族の言語とマルマ・ムロ語彙三題」天野利武編『チッタゴン地方の丘陵人 : 東パキスタン総合学術調査隊報告書1964』大阪大学, 「チャクマ語音韻表」
[最終更新 2023/11/20]