シンディー文字 Sindhī lipi 英 Sindhi letters

西インドのシンディー(シンド)語は,もとはランダー文字,フダーワーディー文字(Khudabadi), グルムキー文字(Gurmuki),ホジャ文字(Khojiki),デーヴァナーガリー文字(Devanāgarī )などで書かれていたが,シンド地方の住民の多くが,ムスリム政権下でイスラム教に改宗して西方への傾斜を強めたことから,ペルシア文字がしだいに浸透し,その改良された形であるシンディー文字が,イギリス統治下で,手書きと印刷の文字として広く使われるようになった。アラビア文字の場合は,通常はナスフ体を用いる。
フダーワーディ文字 Khudawadi (Sindhi) script
この文字は,フダーワーディ文字あるいはシンド文字と呼ばれ,インドアーリア系のシンド語を表記するために用いられた。1868 年にボンベイ政府により,「ヒンディー語シンド語」あるいは「ヒンドゥーシンド語」として標準的な文字体系とされ,ハイデラバードを中心に使用された。しかし,最終的にはアラビア文字に置き換えられた。
母音・母音記号

子音字

数字

例文

「マタイによる福音書」出典:Pandey, Anshuman Preliminary Proposal to Encode the Sindhi Script in ISO/IEC 10646.
ユニコード
フダーワーディ文字はユニコードの U+112B0..U+112FF に収録される。【参照】Final Proposal to Encode the Khudawadi Script in ISOS/IEC 10646 フォント OldSindhi は Малая Комната Шрифтов から入手する。

アラビア文字表記
シンディー語の音韻体系はヒンディー語のそれに似るところが多く,ペルシア文字では,シンディー語の表記は十分にできない。そこで,シンディー語地域の人たちは,ペルシア文字の母音文字のほかに,それに補助記号をつけたり,それを 2 つ組み合わせるなどの方法で母音の長短を書き分け,そり舌音を表記するには歯茎音の文字の下に点を付し,帯気音は無気音に補助点を加えるといった工夫を加えて,ペルシア文字をデーヴァナーガリー文字に対応するように改めたのであった。全体として見るとき,シンディー文字は,借りてきた体系を巧みに自分のもとした典型的な事例だということができる。 [1]

数字

サンプルテキスト

『世界人権宣言』出典: Universal Declaration of Human Rights - Sindhi
ユニコード
シンディー語で用いる文字はユニコードのアラビア文字領域(U+0600..U+06FF)に含まれる。

Fonts: Arabic Typesetting (Windows 付属)。その他のフォントは,Sindhi Fontsを参照。
デーヴァナーガリー文字表記

例文

出典:“Grierson's Linguistic Survey of India” SHINDHĪ -- VICHŌLĪ of SINDHĪ HYDERABAD
ユニコード
シンディー語に特有の文字を赤字で示す。

関連リンク
Khudabadi script
Sindhi language
- 中西コレクション (国立民族学博物館)シンディー文字
- Omniglot Sindhi
注
- ^ 坂田貞二(2001)「シンディー文字」『世界文字辞典』(言語学大辞典,別巻,三省堂)