グプタ文字 Gupta script
グプタ文字は,ブラーフミー文字の一種で,4 世紀から 6 世紀にかけて繁栄した北インドの王朝グプタ朝で用いられていた文字。6 世紀以降,グプタ朝の衰退と分裂に伴い,文字もシッダマートリカー文字,ナーガリー文字等に分裂・派生していくことになるので,グプタ文字はちょうど,そうした北インド系の文字の直接の祖と言える位置づけになる。
ブラーフミー文字の一種のグプタ文字がなぜ特筆されるのかというと,グプタ朝においては,バラモン教(ヒンドゥー教)や法典,文学,科学にまつわる文献の内容的進歩や編纂によって,文献・文字資料が大量に残されているという点と,ちょうどこの直後に,このグプタ朝・グプタ文字の成果を基盤としつつ、北インド系文字が様々に分裂・派生していくことになる,その直前の「末期・晩期ブラーフミー文字」に相当する,「橋渡し・転換点」としての時代性・歴史的立ち位置ゆえである。[1]
グプタ文字構成
グプタ文字見本
初期グプタ文字で書かれたサンスクリット語手稿(貝葉) [Unknown / Public Domain / 出典] |
注
関連リンク
- 辛島昇 (2001)「インドの文字」河野六郎, 千野栄一, 西田龍雄 編著『言語学大辞典 別巻 (世界文字辞典)』三省堂 pp. 105-106.
- Omniglot Gupta
- Jensen, Hans (1969) Die Schrift in Vergangenheit und Gegenwart. (Deutscher Verl. der Wissenschaften) p. 349.
[最終更新 2021/04/10]