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【地球ことば村・世界言語博物館】

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世界の文字

バイバイン 英 Baybayin script


バイバイン(アリバタ)はブラーフミー系の文字で,ジャワのカウィ文字を祖先とする。過去のフィリピンでタガログ語など様々な言語を表記するために使われていた。タガログ語を始めとする,8 大言語は次のとおりである。セブアノ(Cebuano),イロカノ(Ilocano),ヒリガイノン(Hiligaynon),イロンゴ(Ilongo),ビコル(Bicol),サマル・レイテ(Samar-Leyte),ワライワライ(Waraywaray),カパンパンガン(Kapampangan),パンパンゴ(Pampango),パンガシナン(Pangasinan)。

フィリピンにはバイバインの他に ハヌノオ文字ブヒッド文字タグバヌワ文字が存在し,字形は異なるものの表記方法はいずれもバイバインと類似している。フィリピン諸島で外来文化の影響を受けなかった,あるいは,受ける程度の少なかった,パラワン島のタグバヌワ文字,ミンドロ島のハヌノオ・マンヤン文字,その北に接するブヒッド文字は,それぞれの民族により現在でも使用されている。現在タガログ語の表記は,16 世紀にスペイン人によって広められたラテン文字が公式となっているが,バイバインは切手や紙幣,カリグラフィー等で現在でも限定的に使われることがある。

文字構成

子音字はは音価 /a/ を含み,それ以外の母音は上下につける補助記号によって表す,というインド系文字の特徴を保持する。上に付く場合は /i/ または /e/,下に付く場合は /o/ または /u/ を表す(記号の形は黒丸や波形等,書体によって異なる)。元々は音節末の子音を表記せず,読む時は文脈から子音の有無を判断する必要があったが,後にスペイン人の考案で,文字の下に十字型の母音打消し記号を付けて子音だけを書き表す事も行われている。bia 等,“子音+二重母音”を表す場合は,ba に i と a の両方の母音記号を付加させるのではなく,ba に i の母音記号を付加し,その後ろに a の母音字を加える。また, d / r (または l / r )は文字上では区別されない。以上の書記方の制約のために,文字使いのみから書き写された言語を正しく読み下すことは,その言語の知識をもたない限り,不可能である。

バイバインの言語別書体例

前述の各種言語において用いられる書体の相違,また時代による書体の変化をまとめて示す。出典

タガログ語 Tagalog

タガログ文字及びフォントと入力方法などは別掲 タガログ文字 を参照。

次の例文は,「主の祈り」のタガログ訳・文字と,その表紙である。

イロカノ語 Ilokano

フィリピンの主にルソン島北部とミンダナオで用いられる,オーストロネシア語族に属するイロカノ語を表記するための文字。タガログ語を記述する Baybayin syllabary が用いられたが,16 世紀,スペインの植民地になり,ラテン文字に取って代わられた。 [1]

文字構成


サンプルテキスト

イロカノ語「主の祈り」Ilocano, Baybayin


ビサヤ語 Bisaya

ビサヤ語(セブアノ語とも)は,オーストロネシア語族の言語である。フィリピンのセブ州,ボホール州,ネグロス・オリエンタル州,レイテ州西部,さらにミンダナオ島西北部などで広く話されており,他にもごくわずかにサマール島に話者が存在する。これらの地域ではタガログ語(フィリピン語)よりもセブアノ語を母語とする人が多い。スペイン植民地化以前の 16 世紀まで,音節文字バイバインを使用していた。

文字構成

サンプルテキスト

次の例文は,ビサヤ文字による「主の祈り」である。→ Faulmann, K. (1880) Illustrierte Geschichte der Schrift (Wien, A. HartlebensVerlag)


関連リンク・参考文献

Baybayin syllabary
Ilokano
Bisaya
[最終更新 2019/06/20]