タグバヌワ文字 英 Tagubanuwa script
タグバヌワ語は,フィリピン諸語の 1 つ,オーストロネシア語族に属す言語。フィリピン,パラワン島中央部,アボルラン,およびその周辺で話される。ハヌノオ語,ブヒッド語においてと同様,スペイン人到来以前から,インド系文字が継承されている。
文字構成
タグバヌワ文字は,文字の種類は 17,そのうち,母音字は 3,子音字は 14 である。子音字はは音価 a を含み,それ以外の母音は補助記号によって表す,というインド系文字の特徴を保持する一方,デーヴァナーガリー文字の virana,ジャワ文字の paten などに相当する,母音を消して子音だけを表記するための補助記号を欠くため,言語音が子音だけの場合は,綴りでは母音は表記されない。また,l と r は文字上では区別されない。そのため,文字使いのみから書き写された言語を正しく読み下すことは,その言語の知識をもたない限り,不可能である。 [1]
テキスト
タグバヌワ文字文例
Romuáldez は,1914 年に出版した著書で,従来,下から上への縦書き・行は右へ進む書式であったタグバヌワ文字の改正を試み,母音を消す記号 “x” を設け,これと混同しないように ka を “十” で表記するなどの正書法を提案している。
Tagbanwa alphabet [Romuáldez, Norberto (1914) Tagbanwa alphabet with some reformas. (Manila, Imprenta “Cultura filipina”) Archive.org: View the book pp. 23-24.] |
テキスト入出力
ユニコード
タグバヌワ文字のユニコードでの収録位置は U+1760..U+177F である。
注
- ^ 崎山理 (2001)「東南アジア島嶼部の文字」河野六郎, 千野栄一, 西田龍雄 編著『言語学大辞典 別巻 (世界文字辞典)』三省堂, p. 667.
関連リンク・参考文献
- Tagbanwa script
- Omniglot Tagbanwa
- ScriptSource Tagbanwa
[最終更新 2021/09/05]