タイ諸語の文字 Writing systems of Tai languages
タイ諸語
タイ語(Thai)と,近縁ないし類縁の諸言語は,タイ国内に限らず,インドシナ半島と中国南部の各地に広く分布する。これらの諸言語を,一般的に,タイ諸語(Tai languages)という。ただし,タイ語との親縁関係があると思われる諸言語の,どこまでを含めてタイ諸語とよぶかには,あいまいなところがある。三谷(1993)
タイ諸語の歴史的拡散図 [Bookworm8899 / CC BY-SA 4.0 / 出典] |
海南島を含む中国南部とベトナムの中国国境地区には,カム・スイ諸語(Kam-Sui)や,いわゆるカダイ諸語(Kadai)など,いろいろな程度にタイ諸語との関連性の認められる諸言語が存在し,漠然とこれらをも含めて(広義の)タイ諸語ということもある。
(狭義の)タイ諸語は,それが分布する地域により 3 分類される。北方タイ諸語は,いわゆるチュワン語と,それに類したタイ語方言群で,広西と貴州省南部,雲南省東南部,ベトナム北部の一部などに分布する。中央タイ諸語は,ヌン・トー(Nung-Tho)語群ともよばれ,北方タイ語地域の南部からベトナムのソンチャイ(Sông Chày)川流域より東の地域に分布する,雑多なタイ語方言群である。南西タイ諸語(Southwestern Tai)は,本来の意味のタイ諸語(les langues thaï proprement dites)である。ベトナムのソンホン(Sông Hong)川流域より東と南の地域,ラオス,タイ,雲南省の南西部,ビルマ,およびアッサムの一部に分布するタイ語諸方言であり,圧倒的大部分がこの語群に所属する。ここでは,南西タイ諸語に属す言語とそれを記述する文字について概観する。
タイ族の文字の系統
南部表音文字群は,北部および中部地域に入った表音文字に比べて分布範囲が広域であり,派生して作られた文字の種類も多い。そこには,主流となる 2 つの大きな流れがある。西側のピュー文字とモン文字,そして,そこからビルマ文字,シャン文字,カレン文字と発展する一群と,東側のクメール文字とそこから派生するラオス・シャム文字(ラオ文字,タイ文字)の一群である。削除 下図「タイ族の文字の系統」参照。西田(2001)「東アジアの諸文字」
2 つの文字群の識別は,個々の字形の類似を超えて文字組織の発展を弁別する上で重要であって,簡単に表現すると,西側の単純な文字組織しかもたない一群と東側のより複雑な文字組織を発展させた別の一群の 2 つの流れがあったことを明確にしなければならない。その 2 群の文字の発展形が,雲南省南部の西(タイ・ナ文字,タイ・ボン文字)と東(タイ・ロ文字,タイ・ドン文字)で対峙することになる。下図「四种傣字母表」 [拡大図] 刀 世勋,张 秋生(1990)
南西タイ諸語と文字
- ベトナム山地のタイ諸語と文字
- 白タイ語(White Tai) 白タイ語は,ベトナム西北部の黒河流域のライチャウ(Lai Chau)を中心として,さらに北のムオンテー(Muong Te)まで分布する。近隣の黒タイ語とはきわめて似かよった言語であり,白タイ語,黒タイ語,赤タイ語を 1 言語の方言と見なす説もある。白タイ族の民族自称は táy dɔ̌n で,dɔ̌n「白い」は女性の衣装の色によるという。
⇒ 白タイ文字 - 黒タイ語(Black Tai, タイダム語, Tai Dam) ベトナム西北部のラオスとの国境付近のディエンビエンフー(Dienbienphu),および,黒河流域のソンラ(Son La)を中心に居住する,黒タイ族が用いる言語。
⇒ 黒タイ文字 - 赤タイ語(Red tai,Tai Daeng) 主としてベトナムとラオスのソンマ(Song Ma)川とサムサ(Nam Sam)川の流域に居住する赤タイ族の言語である。自称は tay lɛ́ɛŋ で,lɛ́ɛŋ はタイ語の dɛɛŋ 「赤い」に相当する。この名称の由来は,女性の服装の色,紅河,タイホア(Thanh Hoa)省の地名(mɯəŋ lɛ́ɛŋ)なと,いろいろのことがいわれている。赤タイ文字は,類似した 2 種類のが知られているが,いずれも東方タイ文字の系統である。
⇒ 赤タイ文字 - ラオス,タイの主要言語と文字
- ラオ語(Lao,Laotian) ラオ語は,ビエンチャン(Vientiane)など,メコン川中流域を主とするラオス低地部のほか,タイ東北部のほぼ全域で話される。ラオス国語の意味でラオス語(Laotian),また,東北タイの方言は,東北タイ語(Northeastern Thai)とも呼ばれる。
⇒ ラオ文字 - タイ語(Thai,シャム語 Siamese) 本来は,バンコクを含むタイ中部地方の中部タイ語(Central Thai)であるが,また,標準タイ語(Standard Thai)として,タイ全国に通用する。
⇒ タイ文字
スコータイ方言(Sukhothai dialect) スコータイ王朝期(13 世紀~1438 年)に用いられた言語。
⇒ スコータイ文字 - ユアン語(北タイ語)(Yuan, Northern Thai) チェンマイ(Chengmai)を中心とする北部タイの方言で,同地方の旧名をとって,ランナータイ語(Lanna Thai)ともいう。
⇒ タム文字 - 雲南のタイ諸語と文字
- タイヌア語(Tai Nüa,傣哪語) いわゆる中国シャン語(Chinese Shan)で,雲南省西部の徳宏傣族景頗族自治州のほか,近隣各県に分布するが,瑞麗江地区の方言は,従来,タイマウ語(Tai Mau)として知られてきた。なお,『華夷訳語』の百夷語は,16 世紀のタイヌア語である。
⇒ タイ・ナ文字 - タイ・タウ語(Tai Tau) 耿馬県の傣族のうち,タイ・タウ族と称する部族によって用いられる言語。
⇒ タイ・ポン文字 - タイ・ルー語(Tai lue,傣仂語) 雲南省南部の西双版納地区で話されるタイ語であるが,話し手は,そのほかに,ビルマ,タイ,ラオス,ベトナムの各地にも分布する。
⇒ タイ・ルー文字 - 金平タイ語 雲南省紅河哈尼族彝族自治州金平県傣族地区に居住する白タイ族が用いる言語。
⇒ 金平タイ文字 - タイヤー語(Tai Ya, 傣雅語) 不明の点があるが,西双版納地区の一部のほか,もっと東の紅河上流域にも分布するといわれる。
⇒ タイヤー文字 - ランナー・タイ語(Lanna Tai) 1296 年に,現在の雲南省南部からタイ国北部にかけた地域に,タイ族の国家ランナー・タイ国(Lannā Tai,百万稲田のタイ国の意)が建国され,その国語がランナー・タイ語である。
⇒ 八百文字(ランナー・タイ文字) - 百夷語(Pay-yi) 雲南省の西南部にかなり広い地域からビルマの北部にかけて居住した傣族(ビルマではシャン族と呼ばれる)は,元明時代に百夷族と呼ばれ,一種の共通の書写語と特有の文字をもっていた。
⇒ 百夷文字 - ビルマのタイ諸語と文字
- クーン語(Khuen) ビルマのケントン(Kengtung)地方で話されるタイ語で,上記のユアン語とルー語の中間にあって,上座部仏教とともにこの地方に共通の文字文化圏を形成している。
⇒ クーン文字 - シャン語 (Shan) 「シャン」とは,元来は,タイ族一般に対するビルマ語名であるが,ここで言うシャン語は,もう少し限定的に,タウンジー(Taunggyi)を含むビルマのシャン州各地に分布する,いわゆるビルマ・シャン語(Burmese Shan),別名タイヤイ語(Tai Yai)のことである。
⇒ シャン文字 - カムティー語(Khamti) カムティー語またはカヌティー・シャン語は,ビルマ最北部のいわゆるカムティー・ロン(Khamti Long)地方,および,インド側の一部地域に分布する。シャン語の方言ながら,語順等に,チベット・ビルマ系のカテイン語(Kachin)の影響があることで知られる。
⇒ カムティー文字 - アッサム州のタイ諸語と文字
- アイトン語(Aiton) アッサム語式に,アイトニア語(aitonia, Aitoniā)ともよばれる。アッサム州のタイ語は,すでに死語となったアホム語が有名であるが,それとは別に,カムティー語など,18 世紀後半以後に北部ビルマから移住してきたといわれるシャン族(shans)の言語がいくつか知られており,アイトン語もその 1 つである。
⇒ アイトン文字 - アホム語(Ahom) アホム語は,13~18 世紀に,インド,アッサム州のブラマプトラ(Brahmaputra)川上流域を支配したタイ族の言語であるが,インド・アーリア系のアッサム語(Assamese)にとって代わられ,現在では,死語となっている。
⇒ アホム文字 - タイロン語(Tairong) アッサム州のシブサガル(Sibsagar)県で話される言語。
⇒ タイロン文字 - ノラー語(Norā,Khamyang) アッサム州のシブサガル(Sibsagar)県で話される言語。ノラー語は,ビルマ北部のシャン語と共通の要素を持ち,また,ビルマ語からの借用語を多く含む。
⇒ ノラー文字 - パーケー語(Phake) アッサム州のBuri Dihing谷で用いられる言語。
⇒ パーケー文字
南西タイ族の文字
白タイ文字
白タイ文字(White Tai characters)の子音字は,第 1 系列と第 2 系列とからなっており,基本的には No.1 から No.44 までの 44 文字である。これらの子音文字は,単独では ɔ 母音をつけて発音される。第 1 系列と第 2 系列の文字は,それぞれ同じ音価をもっているが,第 2 系列の方は,第 4 声調(44)で発音されるため区別される。母音符合は 17 種あり,子音文字の上下左右につけられる。佐藤(2001)「白タイ文字」
黒タイ文字
黒タイ文字(Black Tai characters)は,表単音文字で,子音文字と母音符号を組み合わせる。子音文字は1字形が1単音を表示し,単独で読むときには母音 ɔ をつける。母音符号は,それぞれの種類によって,子音文字の上下左右につけられる。声調符号は,子音文字の上(母音符号があればその上)につける。子音字は,第 1 系列と第 2 系列からなっており,それぞれ 19 種ずつ,合わせて 38 種ある。 詳しくは, 黒タイ文字 を参照。佐藤(2001)「黒タイ文字」
赤タイ文字
赤タイ文字(Red Tai characters) [サンプル]Unified Tai Script for Unicode
ラオ文字
ラオ文字(Lao alphabet / Akson Lao)の起源はタイ文字と同じく,古クメール文字から派生したタイのスコータイ文字(13 世紀)と言われる。そのため字形はタイ文字とよく似ている。現在のラオ文字に至る古ラオ文字が確立したのは 15,16 世紀と推定される。古典文学はパーリ語仏典の表記に用いられたタム文字で書かれたが,ラオ文字は民衆のラオス語を表記する文字として発達した。子音文字 27,子音結合文字 7,母音記号 33 に,4 つの声調記号がある。ラオ文字は 1 字 1 音を原則とした優れて表音的な文字体系のため,タイ文字に比べ子音字の数が整理され少なくなっている。詳しくは ラオ文字 を参照。 [サンプル] 『世界人権宣言 第 1 条』
タイ文字
タイ文字(Thai alphabet, akson thai)は,南インドのインド系文字に起源を遡る古クメール文字から派生したと考えられている。13 世紀にスコータイ王朝の三代目ラームカムヘーン大王が完成させたという伝承がある。サンスクリット語・パーリ語からの借用語も正確に表記し分ける 42 もの子音字があるが,実際に音が区別される子音の数はその約半数。同音異字を区別するために子音字には名前が付いている。15 の母音記号とその組み合わせで 28 種類の母音を表すほか,4 つの声調記号がある。インド系文字の伝統的な独立母音字はない代わりに,子音文字の1つが母音文字の基底文字として機能する。詳しくは タイ文字 を参照。
現代タイ文字 [サンプル] 『世界人権宣言 第1条』
コーム文字
コーム文字(Âksâr khâm អក្សរខម) 主としてパーリ語を記述するために使用された初期クメール文字である。現在は,宗教的な文書,護符,ヤントラ(Yantra),入れ墨のためなどに使用される。次の子音字表では,各子音字とその脚文字を示す。【参照】Khom Thai scriptタム文字
タム文字(Tai Tham script (Dai Tam, Tai Lü), Lanna script, 西双版纳傣文)は,パーリ語ならびに使用者たちの話すタイ諸語を表した。タム文字が用いられた地域は,今日のタイ国北部をはじめとして,ラオスの低地部全域およびタイ国東北部,ビルマ(ミャンマー)のシャン州のチェントクンを中心とした地域,中国雲南省シンプソンパンナー (西双版納傣族自治州)を中心とした地域と,これらの地域を繋ぐ地帯の各地に及ぶ。これらの地域のうちで,タム文字が最初に用いられたのはタイ国北部であったと考えられる。北タイでも伝播した各地でも,それぞれに固有の変容を受けて今日に伝承されているが,それらの違いはほぼ字形のレベルに留まり,字体や記法の基本的性格においては同一である。詳しくは ⇒ タム文字 を参照。[サンプル]『チェンマイ年代記』の貝葉写本の一部。飯島(2001)
クーン文字
クーン文字( Khoen)は,ビルマのシャン州チェントゥンで話される言語を書き記すための文字。文字表は,Khuen alphabet を参照。 [サンプル] 飯島(2001)
タイ・ナ文字
「维先达罗」 拡大 |
現代タイ・ナ語では, -VC 形式は 84 種弁別されるが,旧タイ・ナ文字では,それを表記する形は 43 種しかなかった。しかも,旧タイ・ナ文字では少数の例以外は声調を表記しなかったから,同じ綴字が 2 種以上の単語を表記することがしばしばで,多音読,多義の弁別に困惑した。新タイ・ナ文字,現行タイ・ナ文字は,新しい字形を考案し,あるいは旧字形を転用して,その欠点を改善している。詳しくは, タイ・ナ文字 を参照。[サンプル]右上:「维先达罗」(傣族佛教経典)刀 世勋,张 秋生(1990),削除 下:「タイ・ナ文字の改善」西田(2001)「タイ・ナ文字」
タイ・ポン文字
耿馬自治県には現在 2 つの系統のタイ族がいて,3 種のタイ文字を使っている。タイ・ナ族は,寺院ではタイ・タム文字を使うが,一般民衆の間ではタイ・ナ文字と同じ四角い字形の古い傣文字が使われる。他方,タイ・タウ族の方は,寺院でも民間でも丸い字形のタイ・ポン文字(Tai Pɔng/Tai Tau, 傣綳,傣徳)を使用する。雲南省傣族の間で使われている 4 種のタイ(傣)文字の 1 つ。西田(2001)「タイ・ポン文字」。 [サンプル]「傣綳黄道十二宮图」:刀 世勋,张 秋生(1990)
p. 574 毛沢東 少数民族文字の図
タイ・ル文字
タイ・ルー文字(タイ・ロ文字)西双版納に住むタイ族の言語を書き表すための文字(西双版納文,傣仂文)で,北タイのラーンナー文字と同じくモン文字の形を受け継いでいるが、文字組織にはタイ文字の影響も見られる。雲南省傣族の間で使われている 4 種のタイ(傣)文字の 1 つ。詳しくは タイ・ル文字 を参照。 [サンプル] 左:飯島(2001),右:西田(2001)「タイ・ロ文字」
金平タイ文字
金平タイ文字(Tai Don script,White Tai script, 傣端)白タイ族がインド系のある文字を基礎にこの文字を作った後,その主要部族はこの文字を携えてラオス,ベトナムに南下したが,一部は雲南省南端にとどまった。その部族は,住居地の名称をとって金平族と呼ばれるようになった。そこで古い白タイ文字が伝承されたものと考えられる。雲南省傣族の間で使われている 4 種のタイ(傣)文字の 1 つ。西田(2001)「金平タイ文字」
文字組織はタイ・ロ文字と同一であるが,字形は角ばった形をしているばかりではなく,他のタイ文字とかなり相違していて,たとえば中部地域のラオ文字やシャム文字から類推して読むのは難しい。金平タイ語の 22 種の子音は,44 種の子音字で書かれ,タイ・ロ文字と同じ原則で高音字 22 と低音字 22 に分けられる。9 種の母音字そのほかで表記され,6 声ある声調は,2 種の声調符合と符合をもたないゼロで書き表される。削除 下図左に子音字,右に基本母音字を示す。
タイヤー文字
タイヤー文字(Tai Ya script) [サンプル] Mt 3. 1-4, Nida (1972)
百夷文字
明代以降,中原に朝貢した使節団は百夷語を百夷文字(Pay-yi script)で書いた公文書を持参したが,それを翻訳する機関である百夷館が設立され,その役所で翻訳官を養成するためのテキストとして,単語集(雑字)と文例集(来文)が編纂された。ここで百夷文字と呼んでいるのは,それらのテキストにおいて使われている文字を指している。 西田(2001)「百夷文字」
百夷文字の字形はどちらかといえば角ばった感じをもち,ビルマ文字の綴字法をよく伝承して,のちの古徳宏傣文字やその改良形である現在のタイ・ナ文字の源をなしている。百夷文字は,緬甸(めんてん)文字を模倣し,字形と綴字法を伝承した。綴字法は単純で 1 字多読現象があり,とくに母音表記に関してその特質が顕著に見られる。その性格は,改良されたタイ・ナ文字を除いて,同系統の文字すべてに共通する。 [サンプル] 右上「百夷館訳語」(来文):西田(2001)「百夷文字」,下「百夷館訳語」(雑字):刀 世勋,张 秋生(1990)
次に単子音文字(左)と,CV# 型の音節を示す。
八百文字,ランナー・タイ文字
『明史列伝』によると,その王国の長に 800 人の妻があり,各々一寨を領有したところから,中国では「八百媳婦国」と呼ばれていたため,その言語を八百語と呼び,その文字を八百文字(Papai script)と名づけている。八百媳婦国はのちのチェンマイ王国の前身である。次に,単純子音文字(H は高声調,L は低い声調を表す)と,母音文字の字形と音価を示す。西田(2001)「八百文字」 八百文字 参照。
下図は,明代16世紀の初めに,中国政府の交流文書翻訳処であった四夷館で編纂された『八百館訳語』(左)雑字(単語集)と(右)来文(文例集)である。これらは,当時の八百語を相当忠実に伝えているようで,他の言語資料には見出せないタイ語形を少なからず記録している点,価値がおおきい。
シャン文字
シャン文字(Shan)は,ビルマ東部のシャン州で話されるシャン語(タイ系)を書き表すための文字である。ビルマ文字をもとにして,おそらく 15 世紀以降に作られた。シャン人は,この地域を中心とした「シャン文化圏」と名付けられる複合文化圏の主要民族の一つである。詳しくは シャン文字 を参照。 [サンプル] Mk I.1-4 (1931) Nida (1972)
カムティー文字
カムティー文字(Khamti script)は,インド,アッサム州の東北,ラキンプール(Lakimpur)地域で,北のミシュミ族と南のシンポー族の間に挟まれて分布するカムティー族の言葉であるカムティー語を表記する文字。シャン文字と同様にビルマ文字を基に作られたモン系文字である。詳しくは カムティー文字 を参照。 [サンプル] Grierson (1904),【参照】http://www.shanyoma.org/yoma/tai-scripts-of-india-khamti.pdf
アイトン文字
アイトン文字の子音字・母音記号など,文字構成は アイトン文字・パケー文字を参照。 [サンプル] Grierson (1904),【参照】 Aitonia
Kun | kō-lümg | luk | sâng-kō | yang. |
Man | person-one | sons | two-persons | had. |
Luk-chai | ân | lau | hāng | pō-man, |
Son-male | younger | said | to | father, |
ʻpō, | khâng | maü | yāng-sāng | weng-haüʼ. |
ʻfather, | property | thy | whatever | divide-giveʼ. |
Lu-tā-nānk | yāng-sāng | pān-haü-kā. | Wai | |
After-that | whatever (he had) | (he)-dividing-gave. | After |
次のテキストと使用フォントは,下記「関連サイト」の SEAlang を参照。
アホム文字
アホム文字の子音字・母音記号など,文字構成は アホム文字を参照。 [サンプル] Grierson (1904)
サンプルテキストとフォントは,下記「関連サイト」の SEAlang を参照。
タイロン文字
タイロン文字 [サンプル] Grierson (1904),【参照】Tairong
ノラー文字
ノラー文字の子音字・母音記号など,文字構成は ノラー文字を参照。 [サンプル] Grierson (1904)
サンプルテキストとフォントは,下記「関連サイト」の SEAlang を参照。
パーケー文字
パーケー文字の子音字・母音記号など,文字構成は アイトン文字・パケー文字を参照。サンプルテキストとフォントは,下記「関連サイト」の SEAlang を参照。
関連リンク・参考文献
- SEAlang:Tai and Tibeto-Burman Languages of Assam. フォントは,メニューバ Download required fonts をクリックして moorey-fonts.zip をダウンロード・解凍後,インストールする。各種言語のテキストは, Download and read the texts のページから入手する。
- SEAsite TaiDam
- Northern Thai language
- Southwestern Tai languages
- タイ族
- Grierson, G. A. (1904) Linguistic Survey of India, Vol. II. Mōn-Kmēr & Siameese-Chinese Families (including Khassi and Tai) (Calcutta; repr. 1966, Motilal Banarsidass, Delhi)
- Nida, Eugene A. (1972) The Book of a Thousand Tongues. (United BibleSocieties)
- 刀 世勋,张 秋生(1990)「老傣文」中国民族古文字研究会编 『中国民族古文字图录』(中国社会科学出版社)
- 中国社会科学院民族研究所(1992)『中国少数民族文字』(中国藏学出版社)
- 飯島明子(2001)「タム文字」『世界文字辞典』(言語学大辞典,別巻,三省堂)
- 佐藤博史(2001)「白タイ文字」・「黒タイ文字」『世界文字辞典』(言語学大辞典,別巻,三省堂)
- 新谷忠彦 編(1998)『黄金の四角地帯 : シャン文化圏の歴史・言語・民族』(慶友社)
- 西田龍雄編(1981)『世界の文字』(講座言語 第5巻,大修館書店)
- 西田龍雄(2001)「東アジアの諸文字」「タイ・ナ文字」「タイ・ボン文字」「タイ・ロ文字」「金平タイ文字」「百夷文字」「八百文字」『世界文字辞典』(言語学大辞典,別巻,三省堂)
- 三谷恭之(1993)「タイ諸語」『世界言語編(補遺・言語名索引編)』(言語学大辞典,第 5 巻,三省堂)