レーケー文字 英 Leke script
カレン系言語のなかで独自の文字をもつのは,スゴー・カレン語,ポー・カレン語,パオ語の 3 つの言語である。そのうち,ポー・カレン語の文字には,キリスト教ポー・カレン文字と仏教ポー・カレン文字のほかに,レーケー文字がある。
カレン州に住むポー・カレン人には,レーケー教という,弥勒菩薩を信仰する独特の宗教がある。この宗教の信者たちが使っているのがレーケー文字である。この文字は,おそらく 19 世紀の中頃に作られたと考えられる。文字の形態は極めて込み入っており,その特徴から「鶏の足跡」と呼ばれる。レーケー文字の使用は,この宗教の信者に限られているため,ごく小規模である。→ 加藤
文字構成
子音字(→ Stern)と母音記号(→ Fickle, Hosken)を次に示す。
子音字
母音記号
数字
上段がキリスト教ポー・カレン文字/仏教ポー・カレン文字,下段がレーケー文字。
ユニコード
レーケー文字をユニコードに登録するための提案書が,Erich Fickle と Martin Hosken によって出されている。
注
- 加藤昌彦 (2001)「レーケー文字」河野六郎, 千野栄一, 西田龍雄 編著『言語学大辞典 別巻 (世界文字辞典)』三省堂, p. 850.
- Fickle, Erich and Martin Hosken (2013) Revised Proposal to add the Leke Script in the SMP of the UCS. (923.29 KB)
- Stern, Theodore (1968) 'Three Pwo Karen Scripts. A Study of Alphabet Formation.' Anthropological Linguistics 10 (1)
[最終更新 2021/09/05]