レポント文字 英 Lepontic alphabet,独 das lepontische Alphabet,仏 alphabet lépontique,伊 alfabeto leponzio
北イタリアのミラノ(Milano)の北方,スイスの南辺地帯との間に散在する,コモ(Como),ルガノ(Lugano),マジョーレ(Maggiore),オルタ(Orta)の 4 付近で発見された,約 70 の古代碑文の言語を「レ(ー)ポント語」と呼ぶ。大体前 200 年頃より前 1 世紀前半まで用いられた言語である。レポント語アルファベットはいわゆる北エトルリア・アルファベット(North Etruscan alphabet)である。→ 世界の文字研究会:文字表 → 蛭沼 1992,2001
文字構成
レポント・アルファベットには,有声破裂音(mediae : b,d,ɡ )の記号はなく,同じ記号が破裂音の有声音にも無声音(tenues)にも用いられる。→ Omniglot
レポント語テキスト
サンプルテキスト
ヴィラ・ガンバローニャの花崗岩板碑文
1917 年ヴィラ・ガンバローニャ(Vira-Gambarogna)の北カンパーツィオ(Campaccio)にて発見された花崗岩板碑文。幅 1.05 m,縦右手が 43 cm,左手は次第に細くなり 19 cm,厚さ 5 cm,通常のレポント文字により右から左へ書かれる。前 2 世紀。[訳]「Teromus Qualus に」
ダヴェスコの雲母片岩板の碑文
ルガノ(Lugano)の北東,ルガノとテッセレーテ(Tesserete)とのほぼ中間の村ダヴェスコ(Davesco)の教会の近くで,1813 年発見された。横 1.80 m,縦 56 cm,厚さ 20 cm。通常のレポント文字により右から左へ 2 行に書かれる。前 2 世紀頃。[訳]「Slania Vercalaのための墓,Tisios Pivotialosのための墓」
コモのプレスティーノの碑文
コモ(Como)のプレスティーノ(Prestino)の碑文は,1966 年高速道路グランダーテ・ポンテ・キアッソ(Grandate-Ponte Chiasso)の近くで発見された砂岩の踏み段(gradino)の碑文。右から左へ書かれる。[内容]「行政官,あるいは,聖職者等の重要人物」
関連リンク
- Lepontic language
- Omniglot Lepontic
注
- 蛭沼寿雄(1992)「レポント語」『世界言語編』(言語学大辞典,第 4 巻,三省堂)
- 蛭沼寿雄(2001)「レポント文字」『世界文字辞典』(言語学大辞典,別巻,三省堂)