地球ことば村
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【地球ことば村・世界言語博物館】

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世界の文字

テルグ文字 英 Telugu script


南インドのアーンドラ・プラデーシュ州で主に話されているドラヴィダ諸語の一つテルグ語を表記する文字。南方ブラーフミー文字から派生した文字の系統で,カンナダ文字と密接な関係がある。15 世紀頃に二つの文字に分岐したと考えられている。現行の字体成立には,19 世紀初頭以降のキリスト教伝道組織による活版印刷に依るところが大きい。

子音字母の装飾的要素タラカットゥ(後述)は,付加される母音記号と融合して独特の形状となる。サンスクリット語をも表記する文字として,本来ドラヴィダ諸語にはない無気音・有気音を区別する文字も保持されている。綴りとその読みは原則として規則的に対応しているが,実際の口語の発音は大きく異なる。 [1]

文字構成

音節は,母音字母・記号,子音字母および記号から構成される。

amartya (不死の) 構成要素
U+0C05 U+0C2E U+0C30 U+0C4D U+0C24 U+0C4D U+0C2F
A MA RA halant TA halant YA

母音字母・母音記号

子音字母

他のインド系文字と同様に,テルグ文字の子音文字も,そのままでは a 音を伴う音節を表示する。子音を単独で表示するときは,右上にヴィラーマ(U+0C4D)を付加する。

タラカットゥ

テルグ文字とカンナダ文字に特徴的なのは,直接音価に対応しないタラカットゥ(talakaṭṭu, カンナダ語では talekaṭṭu 「結い髪,鶏冠,ターバン」)という部分が多くの音節字で繰り返し表れる,という点である。

タラカットゥは,ブラーフミー文字で西暦紀元前後から,字母の縦画の上部につけられるようになった装飾的なセリフ(横画)に起源をもつ。ブラーフミー文字後期には,インド全土で様々な形のセリフが現れるが,この部分はデーヴァナーガリー文字のように字画と無関係にすべての音節字に一律に現れる弁別機能をもたない成分となるか,あるいは字母本体に融合して変形するかして,解消されていった文字が多い。

しかし,字母の形状のその後の変化にもかかわらず,タラカットゥは「ブラーフミー文字の縦画」に付加されていたという出自の名残をよくとどめており,タラカットゥの付加されることのない字母はすべて,ブラーフミー文字で本来上部に横画をもっていた字母(kh, j, b, ṇ, ñ など)や縦画のなかった字母(ṭなど)である。縦画があれば母音にも付加されている。テルグ文字・ブラーフミー文字および音価を一部示す。

タラカットゥと母音記号の融合例を挙げる。

子音記号

連続する子音を表記するときは,初頭子音字を通常の大きさと位置で表記し,第二子音字をその下方に子音記号を付加する。子音記号は,ほとんどの字母からタラカットゥを除いた規則的な形だが, ka,ta,na,ma,ya,ra,la,va の 8 つの子音記号は対応する子音字母より古風な形態をとどめる不規則な字形が用いられる。ここでは,タラカットゥは子音字母を子音記号から区別する,という機能を果たしている。

アヌスヴァーラとヴィサルガ

アヌスヴァーラは,母音の後にしか現れず鼻音に用いられ ṃ と転写される。アヌスヴァーラが閉鎖音以外の子音の前にくるとき,または語の終わりにくるときはそれは [m] と発音される。ヴィサルガは,サンスクリット語からの借用語に表れる要素で, ḥ と転写され, [ha] と発音される。

数字

テキスト

サンプルテキスト

《訳》 そこへ行かれた後,私にお手紙を書かれた後。…私がすべき仕事をおっしゃってくださったら,私はお書きになったとおりにしようと努力いたします。 [2]

テキスト入力

ユニコード

テルグ文字のユニコードでの収録位置は U+0C00..U+0C7F である。

関連リンク・参考文献

[最終更新 2023/11/10]