アッサム文字 Assamese script
アッサム文字は,インドの東北部に位置するアッサム州の大多数の住民アッサム人によって用いられる文字である。西暦 4~6 世紀にブラーフミー文字から発達したグプタ文字は,さらに変化して西暦 7~9 世紀にはナーガリー文字となり,その東方スタイルから古代ベンガル文字を経て,現在のアッサム文字の祖形が誕生したと考えられる。アッサム文字の最古の例は,西暦 6 世紀のブティヴァルマン(Bhutivarman)王の銅板認可書に現れる。最終的に現在のアッサム文字の形態をとるに至るのは,西暦 12~13 世紀のことである。 [1]
文字構成
アッサム文字は,母音文字には,単独形式と,子音と結合したときの付加形式との 2 つがあり,子音文字も,単独形式と,他の子音と結合したときにとる付加形式の 2 つをもつ。ベンガル文字とほとんど同じといってよく,わずかに母音 [ɔ] を示す付加記号と,子音 [r] および [w] を示す形が異なるだけである。
単独母音文字・付加母音記号
伝統的な単独母音文字は 12 あるが,現代語では [i] と [u] の長短の区別はなくなっている。付加母音記号は 11 あり,子音の右側・左側あるいは左右両側に付加する。子音字 [ka] に母音記号を付加した例を挙げる。
単独子音文字
子音の単独文字は 40 あるが,異文字でありながら同じ音価をもつものがかなり多い。アッサム文字は音節文字であり,特定の付加母音記号を伴わない子音文字は,子音に [ɔ] が結合した音節音を示すものとなる。子音のみを示す場合は,単独文字の足の部分に,ホロント(=子音で終わる)という記号 (U+09CD) を付け加える。また,音節末のみに現れる文字で,子音のみの音価を示す 4 文字がある。
特別な文字形
母音付加記号が付くことによって字形が変わり,特別な字形となるものがある。このグリフを持つフォントは,e-Bengali INDOLIPI (現在停止中)など僅かである。
子音結合文字
次に子音結合文字の一例を挙げる。
特別の結合文字がない場合
下記の結合子音の場合は特別な結合文字がなく,khaṇḍa ta (母音除去の t: U+09CE)と visarga (息の流失: U+0983),および anuswār (鼻音: U+0982)と呼ばれる単独子音文字との連続によって示される。
3 子音結合文字
3子音結合文字の例を挙げる。
4 子音結合文字
4子音結合文字は,次の1例ある。
数字
数字は次の通りである。
テキスト
サンプルテキスト
出典:Universal Declaration of Human Rights Assamese
テキスト入力
ユニコード
アッサム(ベンガル)文字のユニコードでの収録位置は U+0980..U+09ff である。入力方法
アッサム語用キーボードを設定すると,タスクバーにはアッサム語を表す「AS」が表示される。仮想キーボードおよび入力方法については 多言語環境の設定 を参照。子音字を結合するには,[子音字]+ VIRAMA +[子音字]の順で入力する。注
- ^ 奈良毅 (2001)「アッサム文字」河野六郎, 千野栄一, 西田龍雄 編著『言語学大辞典 別巻 (世界文字辞典)』三省堂, p. 30.