アイトン文字・パケー文字 英 Aiton・Phake

アイトン文字は,インドのアッサム(Assam)に分布する,あるいは分布したことの知られる,タイ系言語の1つであるアイトン語(アッサム語式に,アイトニア語(Aitonia)とも呼ばれる)を表す文字である。アッサムのタイ語は,すでに死語となったアーホム語が有名であるが,それとは別に,カムティー語など,18 世紀後半以後に北部ビルマから移住してきたといわれるシャン族(Shans)の言語がいくつか知られており,アイトン語もその1つである。人口はもともと僅少であったようで(20 世紀初頭で 2 か村),近年のインド側資料にはカムティー語以外の名はない。系統は,南西タイ語系で,ビルマのシャン語に類似し,その1方言とみなしてよく,文字も,シャン文字にほぼ同じである。
パケー(パーケー)文字は,アイトン文字と同系の,アッサムに分布するタイ系の言語であるパケー語を表記するための文字である。パケー語は,現在も話し手がいるといわれる。 [1]
文字構成
以下の記述は Morey (2005) [2] に因る。
子音字母

末尾子音字

副次子音符号

脚文字

母音記号

閉音節

パケー語における声調
パケー語には6種類の声調があるが,表記上の区別はない。そのため,例えば kiŋ の異なる発音が同じ綴りで表記され,単語を見ただけでは意味の区別がつかないことになる。次に keŋ, kaiŋ で表す例を併せて示す。

特殊記号・二重母音

əi 型合字

hɔ6 kham2 型合字

テキスト
サンプルテキスト
アイトン語サンプル

出典:Morey (2005),Free Font: Aiton Script (morey-fonts.zip に同梱)。また,texts に掲載されている圧縮ファイル Aiton を解凍すると多数のサンプルテキストを得ることができる。
パケー語サンプル
文字入力
文字コード
アイトン文字,パケー文字の文字コードは以下のとおりである。
アイトン文字

パケー文字


文字表示テスト
本項で用いたアイトン文字フォントがインストールされていれば,下表右下セルにアイトン文字が表示される。
正しい表示 | お使いのコンピュータでは |
![]() | Ajtonq |
入力方法
アイトン文字およびパケー文字対応の入力メソッドは存在しない。【参考】 多言語環境の設定関連リンク・参考文献
Tai Aiton language | Tai Phake language
- Ethnologue: Languages of the World: Aiton | Phake
- Language Maps: India, Map 5
- Stephen Morey Tai and Tibeto-Burman Languages of Assam
注
- ^ 三谷恭之(1988)「アイトン語」『世界言語編(上)』(言語学大辞典,第1巻,三省堂)
- ^ Morey, Stephen (2005) The Tai languages of Assam : a grammar and texts. (Canberra : Pacific Linguistics, Research School of Pacific and Asian Studies, Australian National University)
[最終更新 2019/03/20]